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『ファインディング・ドリー』アートブックの翻訳を修了生が手がけました!

『ファインディング・ドリー』アートブックの翻訳を修了生が手がけました!

現在公開中のディズニー・ピクサー・アニメーション・スタジオの最新作『ファインディング・ドリー』。この作品の制作過程を紙の上に再現したビジュアルブック「ジ・アート・オブ ファインディング・ドリー(The Art of Finding Dory)」の翻訳をJVTAが担当しました。手がけたのは翻訳者6人とチェッカー1人。そこで今回はチェッカーをお願いした星野みゆきさんに翻訳時の苦労や見てほしいポイントを聞いてみました。
 

★星野さんは、ディズニーが大好きだったそうですね。

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はい。もちろんディズニー映画も大好きなのですが、実は元々ディズニーのアートブックが好きで、海外に行った時には日本の書店では手に入らない重いアートブックをお土産に持ち帰るほどでした。ちょうどMTCディレクターの秋山さんとお会いしていた時にこの本のお話を聞き、「ぜひやりたいです!」とお願いしました。チェッカーに決まった時は、本当に嬉しかったですね。
 

★チェッカーとして特に苦労した点はありますか?
アートブックの特徴の一つだと思いますが、普段はあまり見かけないような英語の単語がとても多くて苦労しました。辞書で調べてもその訳語が難しく、そのまま訳文にあてると日本語で読んだ時にその言葉が理解できずに止まってしまうことが多かったのです。チェックをする際は読者の目線を意識し、そういう点を注意深く見て分かりやすい表現になるように言葉を選びました。
 

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例えばライティングについての解説では、「自然界の光とはっきり区別され」や「海の中の拡散した柔らかく輝く光」と対を成すものとして“fluorescent and stark”いう表現が出てきました。“stark”を辞書でひくと「不毛の、荒涼とした、殺風景な、飾り気のない」という意味ですが、そのままでは光を説明する表現にはなりません。そこで前者との強いコントラストを意識して「無機質」としました。
 

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またキャラクター設定の解説では、3頭のアシカのうち1頭が“runt”と表現されていました。辞書で一番に出てくるのは「(同一種類の中で)標準より小さいもの・動物」となっており、「小人、ちび」は「軽蔑的」となっていますが、ディズニーのキャラクターなら愛情や親しみも込めて「ちび」と呼ぶだろうと思い、あえて「一番のちび」と訳しました。
 

★ディズニーには子どもから大人まで幅広いファンがいるので分かりやすさが大切ですよね。
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そうですね。添えられたビジュアルを参考に、ディズニーの世界でその言葉がどのようなイメージを表現しているのかを考え、訳を読んだ人が同じワクワク感を得られるように気を配りました。ディズニーの映像作品を多く見ていたことが、ここで活きたかもしれません。ちなみに、お仕事をいただいた時には映画『ファインディング・ドリー』の公開前でしたので、翻訳原稿をいただくまで前作の『ファインディング・ニモ』を見返して、メイキングを見ながらイメージトレーニングをしていました。
 

★チェッカーとしてまたディズニーファンとして、読者にぜひ見て欲しいポイントはありますか?
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この本には、数々のキャラクター画や絵コンテなどが収録されています。製作チーム内でイメージやコンセプトを共有するためだけに作られた手書きのデザイン画やマンガなども見ることができます。映画の本編では見ることのできないものも多く、ディズニーの映画作りに対するこだわりがひしひしと感じられます。例えばリアルなサンゴ礁を描くための準備段階として作られた多くのデッサンや模型も収録されています。ディズニーファンやデザイン好きな人はもちろんですが、何かに情熱を傾けている人なら誰でも刺激を受け、楽しめる一冊だと思います。
 

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★星野さんは、イギリスの音楽総合サイト「NME.com」の日本版サイト「NME Japan」の記事翻訳も担当されていますね。ウェブ翻訳と書籍翻訳の違いは何ですか?

NMEの記事はとにかくネタが新鮮なので面白いですね。日本語ではまだ記事になっていないものも多いので、その分調べ物は大変です。でも、自分が納品した記事が数時間でウェブ上に公開されていくわけですから、(日本で)最初の情報を発信しているというやりがいを感じます。日ごろ、記事翻訳に携わっていた経験が書籍翻訳にも活かせたと思います。
 

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一方で書籍は、やはり形に残るのが一番の魅力でした。原著を作られた方々はもちろん、日本版の製作にも多くの人が携わっている中に自分も参加して一つのものを作り上げたのだという感動があります。「ジ・アート・オブ ファインディング・ドリー(The Art of Finding Dory)」はもちろん予約していますが、手にしたら間違いなく泣いちゃうと思います。翻訳者として一生記念に残る作品になりました。
 

★ぜひ多くの人に楽しんでもらいたいですね。お疲れさまでした!

 

表紙 - コピー
「ジ・アート・オブ ファインディング・ドリー(The Art of Finding Dory)」
2950円(税別)
発売 株式会社徳間書店
発行(編集)株式会社CLASSIX MEDIA
http://classix.co.jp/dory