【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #39 人生を変えた留学●田中葵(翻訳事業推進部)
中学2年生の夏、サマープログラムに参加するためアメリカへ飛んだ。これがその後の私の人生を変える出来事になる。
小さい頃から英語に触れる機会は多かった。ディズニーが大好きだった私は毎日のようにディズニー映画を見ていたが両親の教育方針で字幕や吹き替えはなく、英語オンリーだった。また、家で流れている曲は決まってアメリカンポップスやUKロック。読み書きはできなかったかもしれないが、英語に対する抵抗はあまりなかったはずだ。
そんな“海外かぶれ”だった私は中学生の時にアメリカのティーンたちに憧れを抱く。当時ケーブルテレビで放送していた『ハイスクール・ミュージカル』に衝撃を受けたのだ。見たことのある人は共感してくれるかもしれない。キラキラと青春を謳歌している彼らの姿を見て、自分も同じ経験をしたいと思った。
そこで中学2年生の夏、人生で初めて留学をした。ロサンゼルスにある大学での2週間の寮生活だ。ロサンゼルスは家族旅行で数回訪れたことがあったし、自分の英語力にも自信があったため不安はなく、むしろワクワク感に満ちあふれていた。しかし、到着早々に辛い現実を突き付けられた。英語が全く通じず、同じプログラムに参加していた留学生たちにバカにされたのだ。言いたいことが言えない(言い返せない)、言葉が出てこないなど、近い存在だったはずの英語が急に遠い存在になってしまい、プライドが大きく傷ついてしまった。さらに言葉が通じないと友達もできないので、孤独な毎日が続き日本に帰りたいと何度も涙を流した。
状況を変えるにはどうしたらいいだろうと考えた時、まず恥を捨てた。完璧な文章じゃなくたっていい、相手に通じればいいという考え方に変えて、身振り手振りのジェスチャーと知っている単語を並べて自分の気持ちを伝えることにした。その次に、相手の言っていることをそのまま真似して自分のものにした。相手の表情を見たり知っている単語を聞き取ったりすれば、大枠で何が言いたいかは分かった。そのため次の機会に自分で使えるようにひたすらメモをした。そんな地道な努力の結果、私をバカにしていた人たちが少しずつ耳を傾けてくれるようになり、会話をするまでに成長できた。
その後、高校1年生の時にインディアナ州にホームステイ、高校2年生の時にロサンゼルスに再び留学、そして大学3年生の時にサンタバーバラに交換留学をした。特に交換留学で出会った仲間とは家族のような存在になり、時が経った今でも連絡を取り合っている。そして今、私は映像翻訳者という仕事に就いている。大好きな英語を使えるし、大好きな海外コンテンツにあふれている仕事だ。最初の留学では辛い思いもしたが、あの時の経験がなかったら今の自分はいなかったかもしれない。
映像翻訳者を目指している人や、すでにプロとして活躍している人にも、私と同じような経験があるのではないか。もしくは現在、映像翻訳者を目指す過程で壁にぶつかり、これまで楽しかったものが楽しく感じられなくなっている人もいるかもしれない。大好きなものをずっと大好きでいるということは、簡単そうで実は意外と難しい。しかし本当に好きであれば、どんな壁にぶつかっても必ず乗り越えられるはずだ。たとえ遠回りをしても、自分の好きなことを長く続けられることが何よりの幸せだと私は思う。
今、映像翻訳を学んでいる人、トライアルに挑戦している人たちを応援している。
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Written by 田中葵
たなか・あおい●日本映像翻訳アカデミー・翻訳事業推進部スタッフ。英日映像翻訳科修了生。
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