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【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #48 アメリカの田舎町で世界を旅する●小林由布子(広報)

【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #48 アメリカの田舎町で世界を旅する●小林由布子(広報)

1995年、私はアメリカのミシガン州にある大学に留学した。大学があるのはKalamazoo(カラマズー)という少し変わった名前の田舎町。春は緑の中をリスやウサギ、鹿が駆け回り、冬は雪深く、気温も零下が当たり前だ。アメリカでの知名度は決して高くはない町だが、奇跡的に2022年にディズニープラスで配信されたドラマ『拾われた男』のロケ地となり、仲間うちで大いに盛り上がった。

日本の短大からアメリカの大学へ編入する予定だったが、英語力が足りないため、最初の半年間は大学付属のESL(English as a Second Language)に通った。小さな町の大学だったが、様々な国の大学と提携をしていたこともあり、想像以上に留学生は多かった。そして、私にとって彼らとの出会いは世界を知るきっかけとなった。

■アフリカは国じゃない!大陸よ!
Kalamazooに着いて数日後、ELSのオリエンテーションが開かれた。最初に話しかけてきてくれたのは、西アフリカにあるコートジボワール出身のRitaだ。彼女は感情豊かで愛情深く、私にとって友達であり、姉であり、母のような存在だ。普段は温和なRitaだが、あることについては少し怒った口調でモノ申す。

「みんなアフリカを他の国と並べるけど、アフリカは大陸よ!」

たしかに、「アメリカ、イギリス、アフリカ」という言い方をすることがある。行きたい国を聞かれて「アフリカ」と答える人も多い。しかし、アフリカは大陸で、その中にコートジボワールもあれば、ケニアや南アフリカ、エジプトなどの国がある。彼女によれば、カラフルな「アフリカっぽい柄」も国によって特徴が異なるそうだ。Ritaに会わなければ、今でも「アメリカ、イギリス、アフリカ」と言ってたかもしれない。

アフリカからの留学生たち主催の「African Night」の様子



■ラマダンは太る?!
イスラム教徒は信仰心を深めるために、年1回、ラマダンと呼ばれる月に断食をする。日本にいた時は「ラマダン」なんて聞いたことがなかったが、インドネシア人、マレーシア人、サウジアラビア人、セネガル人、トルコ人の友達を通して、そのルールや実際の生活を学んだ。

ラマダン期間中は、日の出から日没までは食事が禁じられているため、日が昇る前に起き、多めに朝食を食べ、日が沈むと多めに夕食を取る。食事の間隔が長いのと、一度に食べる量が増え、栄養の吸収がよくなるせいか、太る人が多いとインドネシア人のAriefが教えてくれた。

ある日は、私がガムを噛みながら歩いていたらマレーシア人のRazifが寄ってきて

「俺の前でガムを噛むな!」

私にからかい半分で言ってきた。ヘビースモーカーのRazifはたばこも吸えないと教えてくれた。食事だけではなく、ガムもたばこも飲めないラマダンの厳格さを知った。

■アジアを知らないアジア人
ESLには韓国人、台湾人、タイ人、マレーシア人、インドネシア人などアジア人が多かった。一番近い外国のはずだが、その頃の私にはアジアに関する知識はほとんどない。

台湾人たちはイングリッシュネームを持っている。その1人であるアイリーンは高校を卒業したばかりで、愛嬌のある笑顔が印象的。初めて会った時に「アイリーンです」と自己紹介されたので、その通りに呼んでいたが、ある日突然こう言われた。

「今日からブレンダって呼んでね」

当時大人気だったドラマに影響されてメインキャラクターの名前に改名していた。

タイ人たちは結束力が強い。当時「海外では日本人は群れる」と言われていたが、私の中ではタイ人のほうが、団体行動をしていた印象だ。よく大勢でご飯を食べていて、時々交ぜてもらっていた。私の辛い物好きが彼らの影響なのは間違いない。

■誕生日も年齢も推定?!
サウジアラビアから来たSultanは、フレンドリーでいつも笑顔。知り合った頃、話の流れで年齢を聞いて驚いた。

「たぶん25歳かな」
「えっ?!たぶんってどういうこと?」

本人によれば、Sultanはサウジアラビアにある小さな村で生まれた。時計やカレンダーもなく、誕生日はお母さんが決めて申請したそうだ。母子2人の貧しい生活だったが、Sultanは絵の才能が認められ、国費でアメリカに来ていた。彼が生まれたのは1970年頃で、私とさほど変わらないだけに、その環境の違いに衝撃を受けた。

Sultanが描いた絵



これは私がアメリカの田舎町で体験した「世界旅行」のほんの一部。
あれだけの田舎町でも様々な国の文化を知ることができるのだから、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市だったら、もっと多くのことを知るチャンスがあるはずだ。留学はお金も時間もかかるが、そこで出会う様々な国の人や文化を知ることは、それ以上の価値がある。近年、海外に出たがらない若者が多いと聞く。夢だった留学を諦めた大人も多い。しかし、少しでも行きたい気持ちがあるのなら、短期でもいいから留学で世界を知ってほしい。ネットでは知り得ない経験ができるはずだ。

ESLの先生宅で開かれたパーティー!



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Written by 小林由布子

こばやし・ゆうこ●英日映像翻訳科を修了後、フリーランスの映像翻訳者を経て、JVTAに入社。コーポレート・コミュニケーション部で東京校だけではなく、ロサンゼルス校のPRも担当している。
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「Fizzy!!!!! JUICE」は月に1回、SNSで発信される、“言葉のプロ”を目指す人のための読み物。JVTAスタッフによる、示唆に富んだ内容が魅力です。一つひとつの泡は小さいけど、たくさん集まったらパンチの効いた飲み物に。Fizzy! なJUICEを召し上がれ!
 
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