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【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #49 好奇心旺盛で語学が好きな私が、翻訳に二度出会った件●野田千晶(スクール部門)

【スタッフコラム】Fizzy!!!!! JUICE #49 好奇心旺盛で語学が好きな私が、翻訳に二度出会った件●野田千晶(スクール部門)

「大きくなったら何になりたい?」という質問は、子どもの頃に誰でも一度は聞かれたことがあるだろう。私の場合、小学校低学年くらいまでは、なんとなく好きなものから連想して、「お花屋さん」とか「ピアノの先生」などと答えていた。しかしその頃の私は、実際には特に「何になりたい」という気持ちを持っていなかったように思う。

私は幼い頃から好奇心が旺盛で、とにかく何でもやってみたい子どもだった。
ピアノ、塾、テニス、器械体操、英会話、フランス語、どれも自分から「やりたい」と言って始めた習い事ばかりだ(その他にも、親に反対されてできなかった習い事がたくさんある)。この数々の習い事の中で、もっとも楽しく続いたのが英語とフランス語の“語学”だ。自分にとってはただの“音”である“外国語”を文法通りに並べると、まるで魔法のように文化や生活が全く異なる海外の人たちと会話が成立することが、とにかく面白かったのだ。そんな語学好きだった私は、中学生になって「翻訳」という仕事に興味を持った。当時、子ども向けにさまざまな職業や業界についてわかりやすく書かれた本が流行していた。私もご多分に漏れず、その本を手に取った。

その頃、私が興味を持っていた職業は獣医、絵本作家、そして翻訳者だった。
獣医は数学が苦手なことと、動物が好きすぎておそらく手当てする前に感情移入してしまい、仕事にならないだろうと、早々に選択肢から外れた。絵本作家は職業というより、憧れの気持ちが強かったので生業にしたいというのとは違う感情だった。しかし翻訳については、より現実的な気持ちを抱いていたように思う。「仕事としてやってみたい」という気持ちが強かったのだろう。

当時の私は洋書を翻訳した児童書にハマっており、「翻訳者」と言っても本の翻訳をイメージしていた。しかし翻訳者の仕事紹介ページには、「非常に狭き門」「作家になるのと同じくらい難しい」などと書かれていた。子どもながらに、これは並大抵のことではできない仕事で、私程度の人間には務まらないものかもしれない、と感じた。こうして早くも一度、翻訳者への道を諦めることになる。

しかし、それでも語学は好きで、英語とフランス語を学び続けていた。とはいえ「好き」という気持ちで続けていただけであり、就職する際にも語学を生かそうとは端から思っていなかった。そのため文学部で語学ばかり勉強していたにもかかわらず、全く畑違いの保育士になるという道を選択した。子供たちから毎日毎秒新しい発見が得られる保育士の仕事は、好奇心旺盛な私にとってとても楽しい仕事だった。しかし一方で時々物足りなさを感じることもあった。それは、語学に触れる時間がなくなったことが理由だったように思う。

そんな時、友人の大学時代の先輩がJVTAを卒業して映像翻訳者になったと知り、実際にその方にお会いして話を聞くことになった。この出会いが、一度は実現不可能な夢となった翻訳者への扉を再び開けることになる。

語学に飢えていた私は話を聞いて、「とにかく翻訳をやってみたい!映像翻訳をやってみたい!」とJVTAに入学した。初回の授業は今でも鮮明に覚えている。平日の夜クラスで、保育士だった私は子どもたちと1日過ごした後、ヘトヘトになりながら急いで電車に乗り20分揺られて神田にあるJVTAへ向かった。内心、「こんなにヘトヘトで勉強なんてできるのか?」とすでに思っていた。そんな状態で初めて受けたのは、石井講師の「映像翻訳概論」。一つひとつの字幕に工夫が凝らされていることを初めて知り、それを読み解く楽しさが私の好奇心を満たしていくのを感じた。「これこそ私が人生においてやりたかったことなのだ」と私は強く思った。そして、JVTAの卒業生を紹介してくれた友人に、翻訳と再会させてくれたことへの感謝を急いで伝えたことも覚えている。

映像翻訳では、セリフを一つ訳すにもたくさんのステップがある。それが好奇心旺盛な私にはピッタリだった。情報の裏どり、話者のキャラクターを反映した言葉選び、話の構成を意識したセリフ回し。どれも面白くて仕方がなかった(実際の翻訳では、それらに苦しめられることもあるけれど)。また異なるバックグラウンドを持つクラスメートが様々な着眼点で生み出す訳も面白く、プロの映像翻訳者である講師陣の翻訳はさらに洗練されたものだった。1枚の字幕に込められた思い、字幕が出来上がるまでに調べられた情報などを毎回の授業で学び、映像翻訳の奥深さに驚嘆した。

「語学の習得に人生の多くの時間を費やし、その努力を継続する意志を持つ方が『言葉のプロ」として当校から巣立ち、各分野で活躍されていることが私たちの誇りです」
これは、JVTA代表である新楽直樹の言葉である。私はこの言葉に背中を押され、自分もいつか「言葉のプロ」として活躍する一人になることを目指し、今もなお学習を続けている。

好奇心旺盛で語学が好きな人は、ぜひJVTAの門を叩いてみてほしい。そこには新しい出会いだけではなく、私のように、かつて諦めた夢との嬉しい再会があるかもしれない。



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Written by 野田千晶

のだ・ちあき●日本映像翻訳アカデミー・スクール部門スタッフ。日本映像翻訳アカデミー(JVTA)修了生。
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「Fizzy!!!!! JUICE」は月に1回、SNSで発信される、“言葉のプロ”を目指す人のための読み物。JVTAスタッフによる、示唆に富んだ内容が魅力です。一つひとつの泡は小さいけど、たくさん集まったらパンチの効いた飲み物に。Fizzy! なJUICEを召し上がれ!
 
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