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ミュージカル『フラッシュダンス』が9月12日開幕! 長島祥講師が語る訳詞のキーポイント

ミュージカル『フラッシュダンス』が9月12日開幕! 長島祥講師が語る訳詞のキーポイント

ミュージカル『フラッシュダンス』が9月12日に日本青年館で開幕します。オリジナルは1983年に大ヒットした同名青春映画。映画の原案、脚本のトム・へドリー氏による舞台版脚本で蘇ります。プロダンサーを夢見るヒロイン、アレックスを演じるのは、同作が宝塚退団後初の単独主演作となる愛希れいかさん。日本版脚本・訳詞・演出は岸谷五朗さんが手がけています。この公演でミュージカルナンバー5曲の訳詞をJVTA修了生で講師も務める長島祥さんが担当しました。長島さんは、舞台役者としてミュージカルに出演していた経験を生かし、ミュージカルの台本翻訳やドラマや映画の吹き替え翻訳のスペシャリストとして活躍しています。
作品の魅力とミュージカルの翻訳で大切にしていることを、長島さんに聞いてみました。

 
★公式サイトより ミュージカル「フラッシュダンス」30秒


 
◆大ヒット映画の舞台化、長島さんご自身にとっても思い出深い作品だそうですね。
長島祥さん(以下、長島さん)映画『フラッシュダンス』は、ダンスに明け暮れていた学生時代に見て、とても刺激を受けた作品です。今回のお話が決まってすぐ見直したのですが、ダンスシーンは今見ても斬新でしびれました。

 
この作品は、メッセージがストレートで普遍的なので、いつの時代でも元気をくれるのだと思います。ミュージカル版も映画と同じように、「私も夢をあきらめないぞ!」「愛する人を大切にしたい!」という前向きな気持ちにさせてくれる作品になっています。
フラッシュダンス映画

 
ちなみに、ミュージカル版は映画がベースになっていますが、登場人物や細かい設定は舞台向けに作り直されています。ミュージカルナンバーも「What A Feeling」、「Maniac」、「I Love Rock’N Roll」など、お馴染みのナンバーがたくさん登場する一方で、ミュージカル用に書き下ろされたオリジナルの曲もたくさん出てきます。思わず口ずさみたくなるような素敵な曲ばかりです。既存の曲と調和している点もすごいと思います。

 
◆長島さんが訳詞を担当された曲は、舞台版のために作られた曲ということですが、映画も参考にする部分はありましたか? 当時の言葉遣いを入れたとか…。
長島さん 私が担当したナンバーは、すべてミュージカル版のために作られた曲だったので、渡された台本や楽譜に集中して歌詞を考えました。そういう意味では、映画はあまり意識しませんでしたね。今回、日本版オリジナルの演出がつくことも聞いていたので、台本や楽譜から読み取れることをニュートラルに表現したつもりです。映画と同じく、ピッツバーグで鉄鋼業が斜陽産業となっていた1980年代が舞台ですが、特に言葉遣いに関しては時代を意識せず、現代の人物と同じように訳詞をつけています。

 
◆演出の岸谷五朗さんの訳詞から学んだことも多かったそうですね。
★フラッシュダンス 解禁用キャスト・セット写真(ロゴなし) (1)
長島さん 原曲が有名だと、イメージを損なわないように日本語に訳すのはとても難しいものですが、岸谷さんの訳詞は英語で聴いているようなビート感があって、最初に聞いた時は衝撃を受けました。日本語と英語が融合したようなテンポ感のある歌詞になっていて、こんな詞の作り方もあるのかと勉強になりました。今回私が担当したナンバーは、いずれも登場人物が心情を吐露するような曲だったので、言葉がしっかり届くようシンプルな歌詞を考えましたが、今後ビート感が重視される楽曲を訳詞する時はぜひ参考にしたいです。

 
◆ミュージカルの場合、複数で歌う場面では歌う人によって歌詞もキャラ設定するでしょうか? ソロの曲も誰が歌うかによって、言葉遣いを意識して変えるとか。
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長島さん もちろん歌の中でもキャラクターがぶれないように歌詞を考えますが、字数やアクセントの制約があるので、セリフほどはキャラクターが出にくいかもしれませんね。また、ユニゾンで他の登場人物と一緒に歌うところは、周りの口調に合わせることが多いと思います。

 
◆『フラッシュダンス』には、キャラクターを意識して訳詞した例がありましたか?
福田悠太(ふぉ~ゆ~):ジミー役
※ジミー役の福田悠太(ふぉ~ゆ~)さん

 
長島さん ジミーといううだつの上がらないコメディアンが出てくるのですが、彼のソロナンバーではキャラクターに合わせた工夫がされています。ジミーはペラペラとよく喋るけど笑いのセンスはイマイチ。でも憎めない好青年というキャラクターです。なので歌詞の中で韻を踏むことで、いつもダジャレを言っている感じを表現してみました。当初、ジミーのソロナンバーは「1つの音符に1音節」という歌詞作りの基本に乗っ取って訳詞したのですが、岸谷さんから「ジミーらしくなるように言葉を増やそう」と提案してもらいました。その結果、1つの音符に言葉が詰まっているような箇所ができたのですが、その❝字余りな感じ❞が何ともジミーらしいのです。譜割りを変えるだけでキャラクターを表現できるのかと、これは目からウロコの体験でした。

 
◆これまで多くのミュージカルの訳詞をされてきましたが、映画やドラマの吹き替えとは違う魅力を教えてください。

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※イメージ

 
長島さん ミュージカルの翻訳で何より面白いのは、自分が訳した楽曲にどんどん命が吹き込まれていく過程です。演出がつき、振付がつき、役者さんが魂を込めて歌ってくれる。さらに衣装がつき、舞台美術、照明、音響が世界観を作り上げてくれる。その中で自分が訳した楽曲を聞くと、自分も大きな船を動かす歯車の一つになれた気がして、とても嬉しい気持ちになります。実際には嬉しさよりも緊張が勝りますが。我が子がきちんと役割を果たせるのだろうか…という心境になって、手に変な汗をかきます(笑)。ですから、役者さんが歌詞に感情を乗せて歌ってくれる姿を見ると、ホッとしますね。

 
◆『フラッシュダンス』をご覧になる皆さんへ、メッセージをお願いします。

 
長島さん 今は、人と人とがリアルに集まってものづくりをするのが難しい時ではありますが、ミュージカル『フラッシュダンス』は、たくさんの人間の才能や努力が結集した、総合芸術の底力を見せつけられる作品だと思います。きっと「生身の人間っていいな」と思える作品です。振付もすごくカッコよくて、映画版とはまた違う、生の舞台だからこその迫力があります。もちろん映画を見たことがない方も楽しめますし、映画を知っている方なら、「これぞフラッシュダンス!」と嬉しくなるシーンもありますよ! こんな時ではありますが、ぜひたくさんの方に楽しんでもらえたら嬉しいです。

 
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ミュージカル『フラッシュダンス』
[東京公演]
日本青年館ホール  2020年9月12日(土)~9月26日(土)
[名古屋公演]
日本特殊陶業市民会館ビレッジホール  2020年10月3日(土)~10月4日(日)
[大阪公演]
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ  2020年10月8日(木)~10月11日(日)
公式サイト:http://flashdancethemusical-jp.com/

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