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Netflixオリジナルドラマ『火花』を音声ガイドや日本語字幕付きで見よう!

Netflixオリジナルドラマ『火花』を音声ガイドや日本語字幕付きで見よう!

お笑い芸人の又吉直樹さんが芥川賞を受賞した小説「火花」がドラマ化(全10話、計530分)され、6月3日からNetflixで一斉配信されています! 累計250万部を超える原作の初映像化は大きな注目を集めており、約20言語(バリアフリーの日本語字幕を含む)に翻訳され、アジアやユーロ圏、南米など190以上の国や地域で見ることができます。
 

この作品でJVTAが注目したのは、多言語化だけでなくバリアフリー化にも対応していること。視覚障害者用の音声ガイドと聴覚障害者用の日本語字幕も選択できるのです。そこで今回は、JVTAの修了生で、同作のアソシエイトプロデューサーである株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシーの村本陽介さんに、多言語化やバリアフリー化が実現した背景と制作時の苦労について、お話を聞きました。
 

(C)2016 YDクリエイション

(C)2016 YDクリエイション

◆今回一斉配信のスタートからバリアフリー化にも対応したいきさつを教えてください。
 

村本陽介さん(以下村本さん):バリアフリー対応に関しては、2016年4月から障害者差別解消法がスタートし、ハンディキャップのある方に配慮する取り組みがいっそう求められている中、よしもととしても同じ意向がありましたし、Netflixが積極的に音声ガイドやバリアフリー字幕(CC:クローズドキャプション)の付与を進めているという自然な流れでした。Netflixの公式サイトでは敢えてバリアフリー対応については大々的には表記していません。それは、英語やフランス語の字幕がつくように日本語のいわゆるバリアフリー字幕も当たり前についているというスタンスなのです。
 

◆劇場公開の最新作の場合、常に音声ガイドや日本語字幕付きで見られる機会は稀です。音声ガイドと日本語字幕を同時に選んで視聴することも可能なので、バリアフリー講座を開講している当校としてはぜひ多くの人に知っていただきたいです。
 

村本さん:ありがとうございます。私も音声ガイドと日本語字幕のチェックに参加しました。テレビなどでクローズドキャプションを観たことはありましたが、実は音声ガイドをきちんと聞いたのは今回が初めてだったので興味深かったですね。
 

◆お笑いといえば、私たちもサンドウィッチマンさんのDVDの字幕で試行錯誤をしましたが、特に難しかったポイントはありますか?
 

(C)2016 YDクリエイション

(C)2016 YDクリエイション



村本さん:
今回は主人公がお笑い芸人で芸能界を舞台にしていることもあり、専門用語や漫才の言い回しなど細かく監修させて頂きました。漫才はやはりテンポの良さやタイミングが面白さの一つなので、字幕だけでボケとツッコミの勢いや面白さを伝えるのに苦労しました。また、画面上には映っていない人の声をどういう形で字幕にするのか悩みましたし、声色で面白さを伝えられないこと、話者の名前を入れることなど、状況を文字だけできちんと伝えるということは想像していた以上に大変でした。
 

◆今回は多言語に翻訳されていますが、英語字幕をオーストラリア出身で芸人のチャド・マレーンさんが担当されたそうですね。
 
村本さん:はい。お笑い芸人のネタや会話を訳すシーンが多いので、やはり芸人の感覚が必要です。一部のアジアの言語は、日本語から直で翻訳したものもありましたが、基本的にチャドが日本語から英語字幕を作り、それを基に多言語に訳しました。責任重大ですよね。日本の文化を背景にしたお笑いや日本語の言葉遊びをどんな英語にしたら笑ってもらえるのか…。例えば、「質問にすべて『いいえ』で答えてください」という漫才で「いいえ」と「いい家」をかけていたりするわけです。これはもう、そのまま英語に訳しても全く意味がない。悩んだあげく、すべて「No way」で答えて「Norway」にかけるという文章に変えて、オチを作りました。時にはこうした思い切った創作をする必要があり、チャドは本当に苦労していました。英語が得意なJVTAの皆さんにはぜひ、英語字幕でも見てほしいですね。
 

◆Netflixの一斉配信に先駆けて、5月末にドイツの日本映画の祭典「ニッポン・コネクション」では英語字幕付きで上映されたそうですね。現地の反響はいかがでしたか?
 

(C)2016 YDクリエイション

(C)2016 YDクリエイション

村本さん:ドイツでは1日で10話すべてを続けて上映したのですが、若い女の子のグループから1人でふらっと来たおじさんまで、さまざまな人が観てくれました。上映後には、「コメディアンの作品だと聞いていたのでコメディかと思っていたが、実際にはヒューマンドラマで感動した」「丸々1日、主人公たちと一緒にいたので親近感が湧き、ラストはこれでもう彼らとお別れかと思うとさびしくなって泣いてしまった」いう声がありました。確かにこの物語は決して笑いだけのコメディではなく、芸人の苦悩や葛藤も丁寧に描かれています。そういう原作の本質的な部分をちゃんと見てくれたのか、会場には泣いている人がたくさんいました。チャドが苦労してつくった英語字幕で、作品の内容がきちんと伝わったことを実感して嬉しかったですね。
 

◆原作の翻訳本は現在、何か国語に翻訳されていますか?
 

(C)2016 YDクリエイション

(C)2016 YDクリエイション


村本さん:原作の翻訳本は現在、中国語繁体字版が台湾で、6月3日のドラマの配信と同時に発売されました。つまり、それ以外の国は原作よりも映像が先行して配信されているのです。今後、ドラマの言語も拡大する予定ですし、原作の翻訳本の言語数も増やしていく予定です。

◆貴社では、落語の公演にも多言語の字幕をつけるという試みを始めていますね。
 
村本さん:はい。6月5日に桂文枝「字幕」落語会を開催しました。ハンディキャップのある方や、外国の方など、より多くの方に落語を楽しんでいただきたいという想いからNHKグローバルメディアサービスと協力し実現しました。登壇者の背後にスクリーンを設置し、その画面上に話している内容をリアルタイムで字幕にして表示する形式です。こちらも英語字幕はチャドが担当したのですが、落語はまさに日本の古典的な内容なのでやっぱり苦労していました。しかし、今後もこうした試みは続けていきたいですね。
 

◆これからの取り組みにも期待しています! ありがとうございました。
 

Netflixオリジナルドラマ『火花』公式サイト
http://www.hibana-netflix.jp/

 

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http://www.jvtacademy.com/chair/lesson3.php
 

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https://www.jvta.net/tyo/6806/
 
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