English Clock主任講師 山根克之 ロジカルリーディング力を鍛える⑪
English Clockは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、
映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。
英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やドキュメンタリー番組のスクリプトなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。具体的にどんな講座なのか、山根克之講師が解説します。
<英文の表現とうまく付き合おう>
広島に投下された原子爆弾に関するドキュメンタリーのナレーションの一部です。皆さんならどう訳すか考えてみてください。
The weapon’s code name is Little Boy. Its conception is the most covert operation ever undertaken by the US Military. Some say it holds the power of the sun, the stars, the cosmos. But for the crew, the bomb looks like something much less cosmic.
まず何より気になるのは次のポイントです。
・the power of the sun, the stars, the cosmosとはどんな力?
これを英文に書いてある通りに「太陽、恒星、宇宙の力」と訳しても意味を成しません。具体的な爆弾の話をしているのに「宇宙の力」という表現は漠然とし過ぎていておかしいですよね。
そこで、翻訳者は考えます。
・そもそも原爆の威力はどんなものなのか?(太陽や星と何か関連しているのか?)
その点を調べると次の事実が分かります。
・原爆は太陽の表面温度よりも高い熱を発生させる。
ここまで分かれば、訳文の方向性が決まってきます。
(訳例)コードネームはリトルボーイ。この新型爆弾は極秘の製造計画に基づいて作られました。その威力は強烈で太陽の表面温度よりも高い熱を発生させます。しかしその大きさは太陽に比べればはるかに小さなものでした。
原文を軽視して日本語訳を作り込むことは翻訳者として褒められた行為ではありません。しかし原文の表現に縛られても、分かりやすい訳文は作れません。訳文を作成する際に何がネックになるのか? 何を調べれば解決するのか? 正しい思考のプロセスをたどることができれば、原文との付き合い方も見えてきます。ロジカルリーディング力強化コースでは、様々な英文の事例に接しながら、翻訳者に必要な思考のプロセスのたどり方を訓練します。
(Text by English Clock 主任講師 山根克之)
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https://www.jvta.net/tyo/logical-reading-archive/
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