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ロジカルリーディング力を鍛える⑮ 辞書を引く習慣をつけよう

<strong>ロジカルリーディング力を鍛える⑮ 辞書を引く習慣をつけよう</strong>

ロジカルリーディング力 強化コースは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。

 
英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やコラム、政治家のインタビューなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。具体的にどんな講座なのか、山根克之講師が解説します。

 
<辞書を引く習慣をつけよう>
今年はスポーツの国際大会が数多く開催されています。春先のワールド・ベースボール・クラシックに始まり、夏は世界陸上、世界水泳、バスケットボールワールドカップ。現在はラグビーワールドカップがフランスで開かれています。先日(日本時間9月18日)は日本代表がイングランド代表相手に善戦したものの、敗れました。(早起きしてテレビの前で応援したのですが…)

 
その試合を伝える海外メディア(https://www.express.co.uk/sport/rugby-union/1813884/England-booed-Rugby-World-Cup-Japan)の記事の中に次の文を見つけました。解説を読む前に自分なりに訳してみてください。

 
Booed by their own fans at the Stade de Nice for their obsessive kicking – bad kicking at that – England had flirted with defeat for 56 minutes against a side who they beat 60-7 the last time they played them at a World Cup.

 
考えるポイントはいくつかありますが、今回取り上げたいのはflirt withという表現です。英和辞書を引くと、「戯れに恋をする」「いちゃつく」「面白半分に手を出す」「(危険に)わざと身をさらす」などの意味が目につきますが、どれもしっくりきません。「負けに身をさらす=負ける、負けそうになる」と考えてもよさそうですが、もう少し確実な根拠が欲しいところです。そこでもっと細かく丁寧に見ていくと、『リーダーズ英和辞典』に「もう少しで達する」という定義が見つかります。また、Merriam -Websterのサイトには「to come close to reaching or experiencing something」と書かれています。これで自信を持って「もう少しで負けそうだった」と解釈できます。全体の訳は次のような感じになるでしょう。

 
イングランド代表は執拗にキックにこだわり、しかもそのキックも功を奏さず、スタッド・ド・ニースにやって来た自国のファンからブーイングを浴びた。前回ワールドカップで対戦した際には60対7で破った日本を相手に56分までは負けてもおかしくない雰囲気が漂っていた。

 
「しかもそのキックも功を奏さず」と訳したbad kicking at thatのthatは何を指しているのか疑問に思った方もいるかもしれません。「それに対するひどいキック」と訳しても意味を成しませんよね。このような時は「ひょっとしてat thatで熟語的な定義があったりするの?まさかねぇ、でも…」と思いながら辞書を引いてみてください。ちゃんと「さらに」「しかも」という意味が載っています。

 
言葉の意味に関して少しでも疑問を持ったら、まず辞書を引いてみましょう。辞書のページを開けば、新しい世界が開けることもあるのです。

 
今回見てきたような単語の定義レベルから丁寧に考える力を身につけたい方は、ロジカルリーディング力強化コースをぜひ受講してください。
 
(Text by English Clock 主任講師 山根克之)
 

◆English Clock「ロジカルリーディング力 強化コース」
2023年10月24日より開講 無料体験レッスンを開催中
https://www.jvta.net/tyo/english-clock-orientation/