English Clock主任講師 山根克之 ロジカルリーディング力を鍛える⑤
English Clockは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、
映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。
2019年10月から新講座「ロジカルリーディング力強化コース」を開講。英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やドキュメンタリー番組のスクリプトなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。
翻訳者は何よりもまず根拠のある訳文作りができないとなりません。それは具体的にどういうことなのか? 野球に関する記事からその背景にある意味について、考えてみましょう。
◆English Clock主任講師 山根克之講師
◆知識をたくさん蓄える
今回は野球に関する新聞記事からの出題です。2018年4月9日付のジャパンタイムズの野球に関するコラムに日本ハムファイターズで活躍する近藤健介選手が取り上げられていました。今年は少し調子を落としてしまいましたが、近藤選手は当時、日本のプロ野球史上初の4割打者に最も近い選手と言われていました。そのコラムに出てきた次の英文の意味を考えてみましょう。
He’s a magician with the bat and possesses good speed and a good eye at the plate.
possesses good speedを「足が速い」と考えた人は注意が足りません。語句のかたまりについてよく考えましょう。good speedとa good eyeはpossessの共通の目的語なので、at the plateはgood speedとgood eyeの両方にかかります。野球でplateと言えばホームプレートかマウンド上のピッチャーズプレートのこと。ここではバッティングの話をしているのでホームプレート、もっと状況を想像しやすい言葉で言えばバッターボックスを指します。では「バッターボックスでスピードがある」とはどういうことでしょうか? バッターボックスでバッターがやることと言えば、ボールを打つことですよね。ボールを打つためにはバットを振らなければなりません。possesses good speed at the plateとは、バットを振るスピードが速いということです。ちなみにgood eyeは視力が良いという意味ではありません。ストライクかボールか見極める能力が高いということ。そこから次のような訳文ができあがります。
「彼は天才的なバットコントロールの持ち主で、スイングスピードが速く、選球眼も良い」
今回の英文を理解するには野球の知識を応用しなければなりません。でも野球の知識があれば、それだけで太刀打ちできるかといえば、そうでもありません。「足が速い方がヒットにできる確率は高まる」というのは野球の知識ですが、今回の英文のgood speedが足の速さのことではないことを見抜くためには英文の構造に関する知識も必要なのです。
10月開講のロジカルリーディング力強化コースでは、このように様々な知識を動員して、英文の内容を確実に理解する術を養います。今回のように背景知識や調べもので解決する事柄と文法・語法の知識で解決する事柄の区別については第5講の「背景の理解」で学びます。
(Text by English Clock 主任講師 山根克之)
◆ロジカルリーディング力を鍛える アーカイブはこちら
https://www.jvta.net/tyo/logical-reading-archive/
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