English Clock主任講師 山根克之 ロジカルリーディング力を鍛える⑥
English Clockは“プロの映像翻訳者が持つ思考プロセス”を伝授し、
映像翻訳に必須の「英文解釈力」を着実にレベルアップさせることを目的としています。
2019年10月に新講座「ロジカルリーディング力強化コース」を開講。英文読解を高度な知的活動と捉え、英文を「何となく読める」レベルから脱却し、確実な根拠に基づいて理解した内容を自分の言葉で説明できるようになるまで考え抜くトレーニングを行います。英字紙の社説やドキュメンタリー番組のスクリプトなど、深い内容の素材を訳しながら、英文を貫く論理の見出し方、筋の通った訳文の作り方を学びます。
翻訳者は何よりもまず根拠のある訳文作りができないとなりません。それは具体的にどういうことなのか? 宇宙に関する記事からその背景にある意味について、考えてみましょう。
◆English Clock主任講師 山根克之講師
◆センテンスの役割を考える
とあるドキュメンタリー番組のスクリプトに「ボイジャー(宇宙探査機)はinto the depths of the universeまで飛んでいる」という趣旨の文が出てきました。into the depths of the universeは単純な表現ですが、安易に「宇宙の果て」「宇宙の深淵」と訳すのは避けたいような気もします。そもそも、果てしなく広がる宇宙の「果て」とはどこを指すのでしょう?実際、ボイジャーは宇宙規模で考えた時に、そんなに遠くまで行っているのでしょうか?
NASAのジェット推進研究所のサイトによると、ボイジャーは2018年10月に太陽圏(太陽から噴出する太陽風が届く範囲)を脱出しています。その事実を踏まえると「ボイジャーは太陽圏の果てまで到達した」「太陽圏の外に出た」のように訳すことができます。
もちろん、原文の表現をそのまま生かした方がよい場合もあります。象徴的な意味で「はるか彼方に飛んで行った」と言いたいのなら、「宇宙の果て」の方が、味わいが出るでしょう。
何を重視するかによって訳し方は変わってきます。今回の例で言えば、事実の詳細を分かりやすく伝えることと、象徴的な意味合いを表現することのどっちが大事なのか? センテンスの役割を考えることが、適切な訳文を作ることにつながります。
ロジカルリーディング力強化コースでは、このように個々のセンテンスの役割を考えながら、英文を読み進める術を養います。より詳しい内容は第4講の「引き継ぎと展開」で学びます。
(Text by English Clock 主任講師 山根克之)
◆ロジカルリーディング力を鍛える アーカイブはこちら
https://www.jvta.net/tyo/logical-reading-archive/
◆山根克之講師のレッスンをもっと聞いてみたい!
「English Clock ロジカルリーディング力 強化コース」
まずは無料体験レッスン(リモート開催)にご参加ください!
詳細・お申込みはこちら