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JVTAメールマガジン1000号特別企画!大先輩3人に聞く
翻訳と歩んだ20年

JVTAメールマガジン1000号特別企画!大先輩3人に聞く<br>翻訳と歩んだ20年

毎週金曜日に配信しているJVTAメルマガが、2023年4月14日配信号で1000号を達成しました!いつもご覧いただいている皆さん、ありがとうございます。

JVTAメルマガの記念すべき第1号配信は、21年前の2002年4月10日でした。そこで今回は、メルマガ第1号配信当時に受講生であり、現在まで翻訳業界で活躍している大先輩の小松原宏子さん、平間久美子さん、そしてJVTAで講師も務める藤田奈緒さんにインタビュー!今回お話を伺った3名は当時クラスメートとして切磋琢磨した仲。受講当時の思い出や約20年にわたって業界で活躍し続ける秘訣などを伺いました!

★小松原宏子さん

(翻訳家、児童文学作家。2002年、JVTA東京校「英日映像翻訳」修了)

1.映像翻訳を学ぼうと思ったきっかけはなんですか?

テレビで戸田奈津子さんの番組を見て、字幕っておもしろそうだな、と思ったのがきっかけです。

2.JVTA受講当時の思い出を教えてください

入学したとき、私はすでに40代で、まわりがみんな若い方ばっかりだったので、ちょっと場違いだったかな、と思って焦りました。深井先生が初めての授業で古い辞書をもっていらして、「1961年の辞書にはcomputerのところに『大型計算機』って書いてあるだけ。皆さんが生まれる前のことですね」って言ったんです。生まれていた私は思わず目をそらしてしまいました(笑)。

ともかく、あの頃は、平間さんや藤田さんはじめ、若くて英語ができてたくさんの未来にあふれている周りの受講生たちに囲まれ、劣等感のかたまりでした。それでも、字幕の勉強がおもしろくて嬉しくて、毎週の授業が楽しみでなりませんでした。

3.受講当時から約20年経って感じる、映像を取り巻く環境や映像翻訳業界の変化はありますか?

ネット辞書が普及してよかったな、と思います。辞書だけでなくインターネットで検索できることが飛躍的にふえて、調べものも楽になりました。

昔のほうが今よりいい、と思うことはあんまりありませんが、今は吹き替えを好む人が増えているのはちょっと寂しいです。昔は劇場で役者のリアルな声を聞きながら字幕で映画を楽しむのが当たり前でしたので。

4.翻訳者として活動する中で、特に印象に残っている案件や出来事を教えてください

翻訳って孤独な作業の印象がありましたが、JVTAに通ったおかげで、横のつながりができて、お互いに助け合うことができたことは大きな恵みでした。先生だけでなく、受講生仲間からもたくさんのことを学ばせていただきましたし、逆に質問してもらえると、頼られているようで嬉しくなったものです。

5.翻訳者として長く続けるうえでの秘訣や心がけていることはありますか?

秘訣は特にありませんが、好きだから続いているのかなあ、と思います。楽しんでお仕事するのが一番ですね。

6.JVTAで学ぶ後輩たちへの応援のメッセージをお願いします

わたしは遅いスタートだったうえに、英語にも自信がありませんでしたが、教えられたことを忠実に守ることから始めました。なにごとも基本が大切だと思いますので、プロセスを飛ばすことなくがんばってください。

あと、文法の勉強と読書は絶対必要だと思います。足りないと思う方は、すぐに始めることをおすすめします。

★平間久美子さん

(映像翻訳者、通訳案内士。2002年、JVTA東京校「英日映像翻訳」修了)

1.映像翻訳を学ぼうと思ったきっかけはなんですか?

かなり昔から漠然と字幕翻訳に興味を持っていたのですが、ある日、書店で手に取った雑誌に日本映像翻訳アカデミーの記事が載っていて「あっ、この学校に行けば字幕翻訳者になれるじゃん」と思い込み、何の迷いも疑いもなく受講を決めました(笑)。授業が始まり、毎週の課題などでいろいろ悩んだりもしましたが、「自分は絶対に映像翻訳者になれる」ということだけは常に信じ続けていました。思い込みって大事かもしれません。

2.JVTA受講当時の思い出を教えてください

小松原さんはクラスの中でも別格の「できる人」という印象で、あまりお話をしたことがなかったのですが、もっと情報交換させてもらえばよかったなぁ…と思っています。ぜひ、今からでも!

藤田さんと、もう1人の受講生と、毎回、課題提出が終わった後にメールで原稿を交換し、授業当日に赤入れしたものを交換していました。早い段階で評価する側の視点を経験できたことは本当に貴重でした。デビューできたのは2人のおかげです。

3.受講当時から約20年経って感じる、映像を取り巻く環境や映像翻訳業界の変化はありますか?

業界全般として納期が短くなっていますが、幸い、それを上回る勢いで自分の翻訳速度は上がり続けています。また、場所を選ばず仕事ができるようになったので、数週間から数カ月、旅をしながら仕事をすることも可能になりました。「昔は良かった」とは決して言わず、80代になっても最新テクノロジーにワクワクするおばあちゃんでいたいと思っています。

4.翻訳者として活動する中で、特に印象に残っている案件や出来事を教えてください

1つだけ選ぶなら、映像翻訳者としての初仕事となった「GPレーシング」というF1のドキュメンタリー番組です。サーキットに観戦に行くほどのF1好きだったので、得意なジャンルは「モータースポーツ」とアピールしていたところ、それがいきなり仕事に結びついて心から驚きました。翻訳をすることでさらにF1に詳しくなり、詳しくなったことでさらに仕事が来るという好循環は、そこから始まりました。

5.翻訳者として長く続けるうえでの秘訣や心がけていることはありますか?

作業時間の見積もりができるようになることと、複数の収入源を持つことだと思います。この案件にどのくらいの作業時間が必要かというのを計算できるようになると、複数の案件を受注したり、別の仕事と掛け持ちしたりということもできるようになりますし、プライベートの時間も確保できます。翻訳をする時はタイマーをかけて25分ごとに5分間の休憩を入れて、珈琲を淹れたり、ストレッチをしたりということも心がけています。

6.JVTAで学ぶ後輩たちへの応援のメッセージをお願いします

なかなかトライアルに受からなかったり、デビューしても翻訳にすごく時間がかかったりと、これから先、いろいろ悩むことがあるかもしれませんが、とにかく焦らないことです。それから、私のように「自分が映像翻訳者になることだけは決まってる」と思い込むのもいいかもしれません。思いが強ければ強いほど、必要な情報を引き寄せて、努力の仕方を知って、夢にどんどん近づけるんだと思います。よかったら私のブログも参考にしてくださいね。

平間さんのブログは▶こちら



★藤田奈緒さん

(JVTA翻訳事業推進部。2002年、JVTA東京校「英日映像翻訳」修了)

1.映像翻訳を学ぼうと思ったきっかけはなんですか?

中学に入り洋画をたくさん見るようになり、毎回のようにクレジットを目にした戸田奈津子さんに憧れたことがきっかけです(当時は必ず本編が始まる前に名前がでかでかと表示されていました)。大学に入り就職について考える時期になると、やってみたい仕事として戸田奈津子さんの仕事以外思いつかず。大学のOBで字幕翻訳をしていた方から「徒弟制度は終わった。これからはスクールで学ぶ時代」とアドバイスをいただき、「なる!」と決めてJVTAへの入学を決めました。

2.JVTA受講当時の思い出を教えてください

私はクラスの中では最年少で、周りのお姉様方に可愛がってもらいながら必死に食らいつく日々でした。小松原さんは常に教室の一番前に座る優等生で、英語や翻訳について既に知識を多くお持ちだったので憧れの先輩でした。中でも年の近かった平間さんともう1人とは、毎回お互いの課題に赤入れをし合い、講師からのフィードバック以上に落ち込んだことも(笑)。切磋琢磨の甲斐もあってか3人ともトライアルに合格し、今でも映像翻訳の仕事を続けています。

3.受講当時から約20年経って感じる、映像を取り巻く環境や映像翻訳業界の変化はありますか?

映像やスクリプトなどのデータの扱い方はかなり大きく変わりました。私がデビューしたての頃は、映像はVHSテープを郵送、紙のスクリプトはFAX送信か郵送、MTCに直接受け取りにいくことも。翻訳をする時はビデオデッキで一時停止しながらストップウォッチで時間を測って字数を計算していました(当時はSSTが高額で少しずつ出回り始めた頃)。気の遠くなるような作業でしたが、今はすべてサーバーからダウンロードの形なので時間短縮ができて夢のようです。

4.翻訳者として活動する中で、特に印象に残っている案件や出来事を教えてください

デビューしたての頃に受けたスクリプトなしの音楽素材には泣きました。文字通り睡眠を削っても自分のリスニング力に限界があり、お叱りを受ける結果に。プロとして責任を持てない仕事を受注してはいけないのだと痛感しました。MTC時代には「アメリカン・アイドル」を担当し、字幕チェックをしながら毎回のエピソードに感動しては涙を流しました。「こんなに感情を揺さぶられる仕事ができるとはなんて幸せなんだ」と思ったのを覚えています。

5.翻訳者として長く続けるうえでの秘訣や心がけていることはありますか?

特に意識して努力したことはないのですが、ここまで長く業界にいられるのは「翻訳が好きだから」の一言に尽きる気がします。もちろん予想以上に調べものが多い、納期が超タイトなどのハードな案件をこなすと嫌気が差すこともあります。それでもまた別の素敵な作品に出合った時に「やっぱり楽しい」と感じてやめられません。あとは自分の好みの範疇外の作品を意識的に見ることは心がけています。そうすることで作品を読み解く解釈力が養われると感じます。

6.JVTAで学ぶ後輩たちへの応援のメッセージをお願いします

先日開催した「映像翻訳者としてのこれからを考えるセミナー」に登壇していただいたパネラーのお1人も仰っていましたが、「映像翻訳者になる!」と決めたならば「なれる」と、実体験からも私は考えています。ただそのためにはもちろん努力が必要です。自分の力を過信せず、教室で得られるすべての情報・知識を素直な心で吸収し、力を伸ばしていってください。夢中になって学んだ先には必ず、厳しくも楽しい映像翻訳者の世界が待っています。応援しています!


「翻訳が好き」であること、「絶対に映像翻訳者になる!」という気持ちを持つこと。シンプルなことに思えますが、約20年にわたって活躍する大先輩からの言葉だと重みが違いますね。

また「基本に忠実に、得られる知識や情報を残らず吸収する」ことも大切です。JVTAで学んでいる間はもちろん、卒業してからも学習や情報収集を続けていきましょう。そして翻訳に関する情報収集には、ぜひJVTAのメルマガを今後もご活用ください!

小松原さん、平間さん、藤田さん、ご協力をありがとうございました!




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