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【英日PROゼミ】私の字幕がスクリーンに!JVTA×PFF イベントレポート

【英日PROゼミ】私の字幕がスクリーンに!JVTA×PFF イベントレポート

東京・国立映画アーカイブで2019年9月7日(土)から21日(土)まで開催された第41回『ぴあフィルムフェスティバル』(PFF)。JVTAは本映画祭の招待作品部門「カンヌ映画祭批評家週間って何?」で上映の短編作品全9本の字幕翻訳をサポート。ゼミ方式の課外講座「PROゼミ」で修了生らが翻訳を手がけました。
 

9月21日最終日は、その上映日。JVTAは会場を訪れ、自分の字幕がスクリーンに上映されるという体験を初めてした3名に話を聞きました。
 

3名が取り組んだ作品:『そんなつもりじゃなかった』
監督:アンドリアス・ホゲニ(デンマーク、フェロー諸島/21分)


 

ストーリー
スーパーマーケットで出会ったエリンボルグとマリタは旧知の仲。マリタは自分の誕生日パーティーの買い出し中で、エリンボルグも招待客の一人だった。だが、エリンボルグはSNS上でマリタを“ブロック”しており、その知らせを受け取っていなかった。エリンボルグはマリタから、なぜ自分を避けるのか問われるが…。
 

この緊張感を忘れずに、今後も勉強を続けていきたい
――修了生・小林夏絵さん
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カンヌ映画祭の作品に字幕を付けながら学ぶPROゼミは、私にとって、とても貴重な経験になりました。
 

私は映像翻訳をJVTAのWeb講座で学んだため、添削いただいた原稿を自分で理解し、修正して作業を進めることがほとんどでした。PROゼミでは、チームメンバーが、それぞれの意見をシェアをしながら作業を進めるため自分では想像もしなかった意見や、全く気付かなかった間違いを、リアルタイムに聞くことができ、本当に勉強になりました。
 

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今回手がけた作品は、SNSをめぐって繰り広げられる友人同士のトラブルという今、この時代だからこそ、身近に起こる問題が題材。とても旬な作品である印象を受けました。
 

仲の良かった女の子たちが、SNSに対する意見の違いで、友人関係がぎくしゃくしてしまうという、ひと昔前だったら、SNSではなくメールだったり、ブログだったり、そしてさらに前だったら、手紙だったり、交換日記だったりという感じで時代は移っても、女の子同士がもめる根本的な理由は変わらないという点に、とても共感を覚えました。
 

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私自身、フェロー諸島の映画作品を見るのは初めてだったので、アンドリアス・ホゲニ監督の人物像や彼が今まで手掛けた作品、また今回の作品についてのインタビュー記事等を探し映画の背景や登場人物のイメージが損なわないように、かなり注意しました。
 

また映画の中で流れる音楽がとても独特だったので、フェロー諸島のレーベルを調べてYouTubeで聞いてみたりと、すっかりフェロー諸島のファンになってしまうくらい楽しんで調べものをすることができました。
 

以前、Web講座終了時に、今後についての面談を当時のJVTAの担当者の方にしていただいた時に「映像翻訳という仕事は、今までしたどんな経験もプラスになるようなお仕事ですよ」というコメントをいただきました。今回はまさにその言葉を実感することができ、本当に感謝するばかりです。
 

映画館の大きなスクリーンに、自分が翻訳した字幕が映し出されるというのは、感動をする以上に、プレッシャーを感じることなのだと実感しました。最終チェックはしていただいているので、問題はないと分かってはいても字幕にミスはないかとハラハラしなが見ていました。上映後、クレジットに自分の名前を確認して、初めて作業が完了した気分を味わうことができました。
 

字幕翻訳者として初めて映画祭に参加させていただき、楽しんで字幕作るということ以上に、本当に適した言葉を選んで、字幕が作れているのだろうかという
責任を負っていることをすごく感じました。 今回上映中に感じたこの緊張感を忘れずに、今後も勉強を続けていければと思っています。
 

制作スタッフの一員になったような気持ち

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私が受講したWeb講座とは異なり、一つの完結した作品を複数人で翻訳するのも他の翻訳者さまの訳や申送りを拝見するのも初めてで、非常によい経験になりました。他の翻訳者さまが訳した箇所と自分が訳した箇所の表記や口調を統一する難しさ、相互レビューで客観的なご意見をいただけることの有益性を実感しました。
 

この作品はSNSで自分の意見を表明し、他人とつながることの難しさを表現した現代的で目新しいテーマの作品。一方で、葬儀の参列者が輪になって歌うなど、日本とは異なるデンマークやフェロー諸島の伝統文化の一端にも触れることができました。
 

また、今回はデンマーク語から英訳された字幕を日本語に翻訳したのですが英訳される際にセリフが簡略化されたためか、尺に対して翻訳対象となる原文が
短くなる傾向がありました。このため、日本語に翻訳するにあたり、原文の意味を損なわないように尺に合わせた長さの文章に調整する必要がありました。
 

講座で学習していたときは、尺より長くなりがちな自分の翻訳文を短くすることに苦労したものですが、今回は文章を長くする苦労もあると知ることができました。
 

劇場では、自分が翻訳した作品だけでなく、同時に上映された複数の短編も鑑賞しました。どれも興味深い内容でしたが、やはり自分が翻訳した作品が一番面白いと思いました。まるで自分がこの作品を制作したスタッフの一員になったような気持ちになり、作品や自分が付けた字幕を観客のみなさんが真剣に鑑賞している姿を見て、良い反応が返って来ているかなど、とても気になりました。
 

作品が伝えようとしているメッセージ、描かれた文化や心情について、制作者の意図を損なうことなく自然な日本語で表現できるようになりたいと思います。
将来的にはクレジットに自分の名前が出たときに、観客がこの人の翻訳なら信用できると思ってもらえるような翻訳者になるため、今から実績を重ねていきたいです。そのためには、英語圏だけでなく幅広い文化に精通するため、興味の範囲を広げて知識を吸収し、翻訳に生かしていきたいです。
 

より視野を広く映像翻訳の世界に触れたい
――修了生・清水綾さん
 

世界三大映画祭の1つ、カンヌ映画祭の一部に自分も接することが出来るという、これまでに考えた事もない機会を得られて嬉しかったです。自分が勉強しているのはこういう世界なんだな、と噛みしめながら翻訳していました。
 

元がデンマーク語であるものの翻訳と言うのは初めてでした。既に掲載されたNo Ill Will勉強会の記事にもあったように、英語を介した段階で情報が削られているため、日本語字幕が時間に対して短くなっているという点は、自分では気付けませんでした。きっとフランス語やポルトガル語等の、他のチームの方々も同じように感じたのではないでしょうか。
 

恐らく普段なら耳にすることも少ない言語での映画を映画祭で楽しめる一助になれたら光栄です。
 

英日の修了生としては、英語の映画を日本語に訳する、という観点でのみ、映像翻訳を考えがちでした。視野を広く持ってこれからも映像翻訳の世界に触れていきたいと感じました。
 

上映後はプログラマーを迎えてトークセッションを
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特集上映後は、「カンヌにおける『新しい才能』とは?」をテーマに、カンヌ映画祭批評家週間プログラマーの一人、レオ・ソエサントさんを迎えたトークセッションを開催。レオさんによれば、批評家の仕事は映画における新しい才能を発掘するだけではなく、映画の紹介を通じて社会にさまざまな提案をすることだといいます。今回、『そんなつもりじゃなかった』が9作品の中に選ばれたのはフェロー諸島の社会も映し出しているからこそだとも語りました。
 

◆PFFぴあフィルムフェスティバル
公式サイト:https://pff.jp/41st/
 

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