【レインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~】注目作を翻訳担当者が紹介
「第28回レインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~」が7月5日にスタートします! この映画祭は1992年から続く、歴史あるイベントでセクシュアル・マイノリティをテーマにした作品を上映しており、毎年5000人近い動員数を誇ります。メイン会場となる青山のスパイラルホールは毎年レインボーカラーに彩られ、お祭りのように賑わいます。JVTAはこの映画祭の主旨に賛同し、毎年字幕制作でサポート。今年も修了生が活躍しています。同映画祭の運営には、修了生の今井祥子さんが10年以上携わっており、作品の翻訳だけでなく、プログラマーとして上映作品の選定や映画会社との交渉、素材の輸入、字幕制作や完パケ制作などにも関わっています。今井さんはこの映画祭でのご経験から、2017年のベルリン国際映画祭でテディ賞の国際審査員を担当しました。
今年の上映作品、11本の長編と5本の短編のうち、長編6本、短編5本の日本語字幕を修了生が手がけました。今回は、2人の翻訳者が担当作品の魅力を紹介します。
『カナリア』
日本語字幕担当 修了生・内村真希さん
描かれているのは、自分のセクシュアリティに向き合う若者の葛藤と成長です。主人公は過酷な軍隊生活の中で、自分が何者なのか必死に答えを探します。そんな彼の苦悩が、カルチャー・クラブなどの曲によって、一層ひしひしと伝わってきます。上官や仲間との出会いを経て、彼がどのように成長を遂げるか注目していただけたらと思います。
翻訳で心がけたのは、言葉選びと口調です。同性愛者を指す言葉を訳出する際、侮蔑的に使われている場合は「ホモ」、それ以外の場合は「ゲイ」にするなど、言葉を使い分けました。また、主人公が好意を寄せる男性と話す際は、「~だよ」「~だね」など語尾を少し柔らかくして、2人の距離感を演出しました。
この作品ではセクシュアリティに関する苦悩が描かれていますが、なりたい自分と現実の自分との間にギャップを感じることは、誰にでもあるのではないでしょうか? 自分の人生を胸に描きながらこの作品を見ると、より心に響くと思います。ありのままの自分を受け入れることの大切さ、それを教えてくれるこの作品は必見です!
『1985』
日本語字幕担当 修了生・山下容子さん
80年代、エイズが広まりつつあるアメリカで、3年ぶりに故郷に帰った主人公はある秘密を抱えています。しかしそれが何であるか、作品の中で言葉としてはっきり語られることはありません。訳す際はそのことを意識しながら、登場人物たちの複雑な心の動きを捉えることを心がけました。
テーマの1つである家族の描写の中で、印象的だったのが主人公と父親のとあるシーンです。息子に対して複雑な思いを抱く父親が初めて見せた一瞬の表情に胸を打たれました。言葉で多くを語らないところが、本作の大きな魅力の1つと言えます。
主演は、TVドラマ『GOTHAM/ゴッサム』のコーリー・マイケル・スミス。主人公の苦悩を通して、当時の時代背景や家族について深く考えさせられる作品です。ぜひ、ご覧ください。
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※ヨコハマ・フットボール映画祭2019の上映作品『マリオ』がレインボー・リール東京で再び上映されます。翻訳を手がけた修了生・瀬尾奈緒美さんのコメントは下記をチェック!
https://www.jvta.net/tyo/2019yfff/
第28回レインボー・リール東京 ~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~
2019年7月05日(金)~06日(土)@東京ウィメンズプラザホール
2019年7月12日(金)~15日(月・祝)@スパイラルホール
公式サイト
https://rainbowreeltokyo.com/2019/
「私も字幕を作ってみたい!」という方はオープンスクールへ!
https://www.jvta.net/tyo/open-school/
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