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【レポート】山根講師のオンラインライブレッスン 機械翻訳と翻訳初心者の共通点とは? 

【レポート】山根講師のオンラインライブレッスン 機械翻訳と翻訳初心者の共通点とは? 

GW初日の4月29日、オンライン無料講座「【JVTAライブ】英文の裏側まで見通す解釈力~翻訳スイッチを入れよう!~」が開催され、50人以上が参加してくださいました。映像翻訳者として第一線で活躍する傍ら、JVTAで英語力強化コースを担当する山根克之講師が登壇。機械翻訳による3つの不自然な訳例について不自然な訳をブラッシュアップし、より良い日本語訳を作るためのポイントについて解説しました。その様子を一部レポートします。
 

◆下記の英文は、2011年に起こった大相撲の八百長スキャンダルに対する日本在住のアメリカ人の意見です。青字のポイントを意識しながら訳文に違和感がないか考えてみましょう。
 
Sumo has reached a turning point. if it has fixed matches like pro wrestling. they should call it what it is: entertainment drama. But sumo has Shinto aspects to it, so if they keep this sanctimonious attitude, then it should be kept pure.
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※イメージ
◆機械翻訳が作成した訳例
相撲は転換期を迎えている。プロレスのように試合が決まっているのであれば、エンターテイメントドラマと呼ぶべきだろう。でも、相撲には神道的な部分があるから、この神聖な態度を貫くならば純粋なままでいいと思う。
 

◆エンターテインメントドラマって普段聞く言葉?
「エンターテインメント」と「ドラマ」はそれぞれカタカナとして定着しており、ついそのまま使ってしまいがちですが、「エンターテインメントドラマ」という複合語は一般的によく使われているでしょうか? あまり聞きませんよね。この場合、エンターテイメントドラマはプロレスのことを指しています。プロレスはあらかじめ勝敗が決まっており、エンターテインメントの要素があると言っているのです。参加者の皆さんに意見を求めると「芸能番組」「娯楽番組」「筋書があるドラマ」「台本があるドラマ」などいくつもの声があがりました。でも、「芸能番組」や「娯楽番組」ではプロレスとの関連が感じられません。そこで、「ショー」などの訳語を当てはめる訳例が示されました。
 

「また、call it what it is: は「ありのままの」というニュアンス。ここでは、八百長があり勝敗が決まっているのなら相撲もプロレスのようにずばりショーだと認めればいいと言っているのです。それが、sanctimoniousの皮肉にも繋がっています。このように、カタカナで定着している言葉も安易に使わずに、その文章の中でどういう意味で使われているのかを、改めて考えてみましょう」(山根講師)
 

◆sanctimoniousはいい意味? 悪い意味?
sanctimoniousの意味について参加者に呼びかけたところ、「神聖な」という声があがった一方で、「偽善的」「信心ぶった」といったネガティブなイメージも出てきました。
「まずは辞書をきちんとひいて単語の持つ意味を把握しましょう。この場合は、皮肉な意味も込められています。よって、神聖なものと言い張りたいのならといった表現にするとそのニュアンスが出せるでしょう」(山根講師)
 

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※イメージ
◆上記を考慮した訳例
相撲は転換期を迎えている。プロレスのように勝敗があらかじめ決められているなら、それに見合った呼び方をするべきだ。つまり相撲は競技ではなくショーだと認めればいい。ただ、相撲には神事としての側面もあるから、神聖な国技だと言い張りたいのなら、純粋な勝負に徹するべきだ。

 

いかがですか? ロジックがあり、ぐっと分かりやすくなりましたね。
 

山根講師は機械翻訳と翻訳初心者の共通点、それは「違和感センサーが働かないこと」だといいます。
 

「訳文の不自然さに気づけるかが鍵です。機械翻訳は自らそれに気づいて直す技術はありません。だからこそ、翻訳者は英文をどこまで深く読めるかで翻訳の質が確実に上がります。理解が深まり、論理のつながりが分かれば理屈の通った訳文になるのです」(山根講師)
 

参加者の皆さんからは「和訳する際の注意点やポイントがとても参考になりました」「『違和感センサー』と 『訳文の客観視』を意識して今後取り組んで行きたいと思いました」「客観的に字幕を見直す大切さ、論理的に訳文を考える重要性を学びました」などの声を頂きました。
 

オンライン越しに講師が「懐かしい顔を見つけた」と修了生に質問をする場面もあり、中には、「あてられたらどうしよういう緊張感がすごくありました(汗)」という声もありました。生配信ならではの臨場感も楽しんでいただけたようです。
 

JVTAでは今後もオンラインでさまざまな双方向型講座をお届けしていきます。どうぞお楽しみに。
 

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