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「日本語はセンスではない」日本語表現力強化コース講師が教える日本語のブラッシュアップ方法

「日本語はセンスではない」日本語表現力強化コース講師が教える日本語のブラッシュアップ方法

「英語を日本語に訳す翻訳者」と聞くと、多くの人は「高い英語力が必要」と考えるだろう。もちろん一定の英語力は必要だ。しかし、実際の翻訳では、英語力以上に「日本語力」が求められる。JVTAはプロの映像翻訳者を育成するなかで、この日本語力のスキルアップに力を入れている。「映像翻訳者=言葉のプロ」として、日本語表現力の大切さを一貫して説いてきた。

今回JVTAが開催した特別セミナー「コトバを仕事にする前に知っておきたい 日本語ライティング 5つの心得」は、「日本語のライティングを勉強してみたい」「これから翻訳者を目指したい」という日本語ライティングの初級者に向けたセミナーである。JVTAでは、英日映像翻訳者に求められるスキルの1つに「日本語表現力」を掲げ、カリキュラムに組み込んでいる。本セミナーは、実際に「日本語表現力強化コース」を教える丸山雄一郎講師が登壇し、様々な例文を用いながら読み手に伝わる日本語表現について解説した。

◆知っトクポイント◆字幕にも通じる日本語表現のポイント「できるだけシンプルに表現する」

登壇者 丸山雄一郎:「情報を補足してシンプル」にとしています。例文ではこんな文章です。

発電に利用可能な土地はほぼすべて国立・国定公園内にあるため、これを保護する自然公園法が障害となってきたのだ。

という文章です。これも分かりづらくはないかなという文章です。ですがこれを普通に読んだとき、文法がおかしいわけでもないのでスルっといきそうなのですが、「この中身が知りたい」、もしくは仕事で必要となったときに、「障害となってきた」の「障害とはどんな障害なのか?」と考えませんか?障害ってつまりどういうこと?どんな障害なの?何がダメなの?何ができないの?と「はてなマーク」が出てきます。それを埋めてあげたいのです。2文に分けてもいいのですが、1文の中で解決するとしたらと考えて、次の文章を見てみます。

発電に利用可能な土地のほぼすべてが国立・国定公園内にあるため、自然公園法が障害となり、開発が進められないのだ。

最初で「?」のままになっている文章を補足して、その答え(下線部)を1文の中に入れてあげると、読み手にとって非常に分かりやすくなります。

映像翻訳の場合で言えば、原文があるのではてなマークのままということもあると思います。でもその場合はなるべく次の字幕や、次の次の字幕くらいにその答えを言ってあげてほしいです。もしかすると原文と多少順番が違ってきてしまう可能性もあります。ただ、文章を読んでいてはてなマークの答えが分からないまま先に進んでいくのは、非常につらい。そのためなるべく、答えがないものには補足をしてあげたいです。そうするだけで、読み手の理解が変わります。



丸山講師は、頭に「?」が浮かばないような日本語表現の工夫を意識する大切さを伝えた。特に字幕は、前に戻って読み返したり、自分のペースで読み進めたりすることができない。読み手が一読で意味を捉えられるように、時には原文の裏に隠されている情報を足すことも必要になるのだ。

セミナーでは上記のように例文を使ってより良い日本語表現を解説することに加え、日本語の文法に対する考え方、また誰でも簡単にできる「誤字脱字チェックの方法」などが紹介された。終了後のアンケートでは「日本語のリライトが参考になった」「自分の日本語がなぜ不自然になるのか理由が分かった」「翻訳の仕事を始めてから日本語力の重要性に気づいたため、大変勉強になった」などの感想が届き、日本語表現に対する参加者のモチベーションが上がったことが伺えた。

丸山講師はセミナー内で「日本語はセンスではない」と言い切った。日本語表現力は、努力次第で誰でも高められるものなのだ。これから映像翻訳を学ぶ、もしくは学習中の皆さんには、ぜひこの言葉を信じて日本語力を磨いていってほしい。


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