【冬セミレポート】お笑い番組でおなじみのツッコミ「やかましいわ!」を英語にすると?
開催日時:2月26日(月)19:30~20:30
登壇者プロフィール
ジェシー・ナス(日英映像翻訳科講師・日英講座開発プロデューサー)
アメリカ、カリフォルニア州出身。カリフォルニア大学ロサンゼルス校を卒業後、渡日。JVTAで日本映画、テレビ、マンガなどのコンテンツを翻訳し海外に発信するスキルを学ぶ日英映像翻訳の授業で講師を務めるほか、講師の育成やカリキュラムの開発なども手がける。
横山治奈(日英映像翻訳科講師、翻訳者)
カルフォルニア州出身の日系アメリカ人。JVTAロサンゼルス校にて字幕翻訳の勉強を始め、東京校に留学するため、2011年に来日。英語講師などのアルバイトをしながら2013年に日英コースを終了し、プロの字幕翻訳者デビュー。現在は、様々な分野の日英翻訳、通訳、ネイティブチェッカー、スクリプト起こしなどの仕事に従事している。
会話の裏に隠された「感情」を読み取って翻訳する
「映像翻訳=映画やドラマの字幕翻訳」と考える人は多い。しかし動画配信サービスの普及により、昨今では日本のお笑い番組・バラエティ番組が英語字幕つきで世界配信されるケースが急増している。しかしながら、日本と海外では笑いのツボや文化が異なり、言葉を単純に英訳するだけでは面白さが伝わりきらないことがある。「ボケとツッコミ」など、日本のコメディーにおける特徴的な表現を英語字幕で伝えるにはどうしたらいいのか?日本映像翻訳アカデミー(JVTA)で日英映像翻訳を教えるJessi Nuss講師と横山治奈講師がそのポイントを解説した。
セミナーでは実際のお笑い番組やバラエティ番組のワンシーンを題材とし、より適した英語表現を考えていった。例の一つとして取り上げられたのは、Netflix制作の『トークサバイバー』というバラエティ番組。お笑いコンビの千鳥をはじめ、様々な芸人やタレントが出演している人気番組だ。
まず注目したのは「やかましいわ!」というツッコミ表現。日本のテレビ番組で非常によく聞かれる。今回取り上げたシーンでは、千鳥の大悟さんが気取って発する決めセリフに対して、相方のノブさんが突っ込み入れるという形で使われている。
実際に「やかましいわ!」につけられていた英語字幕を確認すると、“Shut up!”となっていた。この字幕について、Jessi講師は「これを見て少し違和感を抱く英語ネイティブもいるかもしれない」という。
「“Shut up”という言葉は、基本的にはとても騒々しい人や状況に向けて使われる言葉です。ですがこのシーンでは、大悟さんは気取ってセリフを言っているだけで、うるさく騒いでいるわけではありません」(Jessi講師)
では、よりシーンに寄り添った字幕にするにはどうしたらいいのか?Jessi講師と横山講師は、「なぜこの人はこの言葉を言ったのか?」を考えるようにアドバイス。該当シーンでの「やかましいわ!」は大悟に対して「静かにしてほしい」と思っているのではなく、「バカなことを言っている」「くだらない」というような感情を込めての発言だと考えられる。それを加味した上で、最終的に両講師は次のような表現を提案した。
Jessi講師案:Oh, that’s lame. / So cheesy.
横山講師案:Give me a break!
両講師は、「会話の裏にある感情を読み取って翻訳することが大切。感情を読み取るには、話し手のトーンや表情をしっかり観察し、また受け手側のリアクションも参考にすると良い」と解説。また、日本と海外では笑いのポイントが変わるので、異文化に関する知識を増やすことも字幕を作る際のヒントになると語った。
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