JVTAが英語字幕を手がけた映画『笑顔の向こうに』がモナコ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞!
JVTAが英語字幕を手がけた映画『笑顔の向こうに』(榎本二郎監督)が、12月3日から開催の第16回モナコ国際映画祭で、最優秀作品賞である“エンジェルピースアワード”を受賞しました。また、出演の丹古母鬼馬二さんに助演男優賞が贈られ、W受賞となりました。JVTAは字幕だけでなく、映画祭への出品に関しても全面的にサポート。海外で日本の作品が評価されることにJVTAも陰ながら貢献できたことは、私たちにとっても大きな喜びです。
※受賞会場の様子 ©公益社団法人日本歯科医師会
この作品は、公益法社団法人日本歯科医師会が全面協力し、歯科医療の現場で働く人たちにフォーカスした物語。高杉真宙さん演じる歯科技工士の大地と、彼の幼なじみで歯科衛生士として働き始めたばかりの真夏(安田聖愛)の成長が描かれています。共演は、木村祐一さん、佐藤藍子さん、藤田朋子さん、中山秀征さん、秋吉久美子さん、松原智恵子さんという豪華な顔ぶれです。
※『笑顔の向こうに』 ©公益社団法人日本歯科医師会
英語字幕を担当したのは、JVTA修了生の大石康代さんと三好由美子さんです。お2人に作品の見どころと字幕制作秘話をきいてみました。
◆大石康代さん(英語字幕を担当)
実をいうと、『笑顔の向こうに』は、感情移入しやすいという意味では訳しやすい映画でした。というのは、私自身も大人になってから歯列矯正を経験するなど、歯の大切さを実感していたからです。とはいえ、翻訳の難しさは変わらず、特に歯科用語や治療中の会話など、歯科医や歯科技工士が患者に接するときの自然な表現になるように、辞書に頼らずインターネットなどから情報を集め照査しました。
主演の高杉真宙さん ©公益社団法人日本歯科医師会
また、この映画には子どもから高齢者まで幅広い年代の人物が登場しています。そのため、各年代の言葉遣いという点にも気を配りました。この他には、スポッティングも少々苦労しました。前のカットのセリフがカット変りで少し残る部分が多かったので、音声を優先にすべきか、カットを優先にすべきかしばしば悩みました。でもおかげで、スポッティングの「さじ加減」が前より理解できるようになった気がします。
この映画の翻訳を担当させていただき、本当に感謝しております。
◆三好由美子さん(英語字幕を担当)
「歯科技工士さんと歯科衛生士さんが主人公? もしかしてとっても硬派な映画かしら」と、最初は身構えましたが、自分の仕事と真摯に向き合う若者たちの物語は、字幕を作る作業をしながらも、とても清々しい気持ちになりました。
専門用語の定訳は、あらかじめクライアントの方よりいただいていましたし、何より分かりやすい脚本だったので、そういう意味で苦労はあまりありませんでした。
※ヒロインの安田聖愛さん ©公益社団法人日本歯科医師会
心がけた点は、俳優さんたちが発する声を大切にする、ということです。しゃべっている言語そのものを理解できなくても、声だけからもいろいろな感情が伝わるはずです。松原智恵子さん扮する主人公の祖母の優しいぬくもりのある声、木村祐一さん扮する歯科医師の厳しくも愛情のこもった声などを視聴者が心に感じながら、何気なくその意味を理解してもらえたらという気持ちを込めて字幕を作りました。(実際どこまでそれができたかは分かりませんが…)
このような素晴らしい賞を授与された作品に関わることができたことを、とてもうれしく思います。(しかも、主人公のデートのシーンは、私の地元でした!)
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今回この映画祭への出品サポートを、担当したのは日英映像翻訳ジェシー・ナス ディレクターです。昨今、増えている日本映画の海外出品の現状と具体的なサポート例を聞いてみました。
◆ジェシー・ナス ディレクター(英語字幕チェック、出品サポート業務を担当)
少し前から、日本の映画監督や配給会社から、英語字幕制作の相談だけではなく、海外映画祭への出品の仕事の依頼がくるようになりました。海外の映画祭で上映されることによって、話題性も生まれ実績になるので、国内だけでなく、海外も意識したPRを考えているフィルムメーカーが増えていると思います。
『笑顔の向こうに』は、出品の数日後にモナコ国際映画祭から連絡がありました。あまりにも早い反応でびっくりしましたが、「『笑顔の向こうに』を見てとても気に入った」と言ってもらえて、嬉しかったです。作品そのものの素晴らしさはもちろんですが、翻訳者のお二人が付けた英語字幕がちゃんと伝わって、審査員の心に響いたんだなと思いました。英語字幕を通して日本の作品の魅力を伝える ― これはまさに日英で目指していることです。
※受賞会場の様子 ©公益社団法人日本歯科医師会
映画祭での上映には、英語字幕があれば十分というわけではありません。上映が決まった瞬間から、映画のPRマテリアルになるポスターや予告編を作成したり、映画祭に参加する人の調整をしたりなど、急ぎで動く必要があります。上映用の素材の準備も大事で、その映画祭で上映可能な素材を確認してから作成します。短期間で進むため、映画祭側と製作側との連携が非常に重要になってきます。今回はこうした対応を私が担当しました。
※受賞会場の様子 ©公益社団法人日本歯科医師会
『笑顔の向こうに』がモナコ国際映画祭で上映されただけでなく、最優秀作品賞まで受賞と、これ以上嬉しいことはなく、担当ディレクターとしてとても誇りに思っています。「海外の映画祭に出品したい、英語字幕を付けたいと思っても、どこに依頼したらいいのか分からなかった」という製作側の声をよく聞きます。JVTAでは引き続き英語字幕制作と海外映画祭への出品代理を通して、日本のフィルムメーカーをサポートしていきます。
関係者の皆さん、おめでとうございます!
◆『笑顔の向こうに』は2019年2月15日(金)から劇場公開されます。
公式サイト:https://egao-mukou.jp/