生配信の参加者は100名以上!! 吹き替え翻訳の知られざるテクニックとは?
<サマスク2020レポート>
映像翻訳には「字幕」と「吹き替え」という2つの手法があります。その1つである「吹き替え」に焦点を当てたのが、8月31日(月)に開催した「プロが伝授!吹き替え翻訳のABC」です。リモート開催ということもあり、なんと当日100名以上の方が参加してくださいました。
進行を務めたのは、JVTAの翻訳受発注部門を統括するメディア・トランスレーション・センター(MTC)の藤田庸司チーフ・ディレクターと板垣七重ディレクター。吹き替えの翻訳に必要な3つのポイントをあげながら、巧みなテクニックを解説しました。その一部を少しだけ紹介します。
◆吹き替えに必要な3つのポイントとは?
吹き替え翻訳には、字幕とは異なる様々なルールやテクニックがあります。その中で最も重要である3つのポイントを板垣ディレクターが解説。1つは「尺合わせ」。元の言語の長さと訳したセリフの長さを合わせることです。2つ目は「ブレス」で息継ぎする部分を合わせること。そして3つ目は「リップシンク」。話者の口の動きと翻訳したセリフの口の動きを合わせるテクニックが求められます。これが1つでも欠けると視聴者に違和感を与えてしまうので、必ず押さえておきたいポイントです。
◆大事なポイントが欠けた吹き替え映像で違いを実感
3つのポイントが反映されている吹き替え映像とそうでないものに、具体的にどう違うのでしょう。参加者の皆さんに体現してもらうため、JVTAが独自で制作したショートストーリーの映像を使い、その違いを見てもらいました。実際にご覧になった方々は、ポイントが押さえられていない映像を見て、モヤっとしたはずです。吹き替え翻訳の作業は実に緻密で正確さを問われることを知っていただけたのではないでしょうか。
◆参加者全員で、吹き替えの間違い探しにチャレンジ!
最後は、ある吹き替え映像を参加者の皆さんにご覧いただき、間違いを見つけてチャットで回答を募集。次々と表示されていく皆さんからの答えの中には、なかなか鋭いものが多く、両ディレクターも驚いていました。短い時間でしたが、吹き替え翻訳に対する感覚が磨かれたのかもしれません。
映像翻訳は字幕も吹き替えも単にセリフを訳すだけではありません。藤田ディレクターは「吹き替え翻訳に関しては、訳す以外にセリフを作っていく要素が強い」と言います。そこが吹き替え翻訳の奥深さでもあるのです。
40分という短い時間でしたが、字幕にはない吹き替え翻訳に必要な巧みなテクニックや面白さを感じていただけたことでしょう。映画やドラマの吹き替え版の見方も変わるかもしれません。
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◆9月27日(日)9:30~13:20 ※日本時間
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