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【コロナ禍のミニシアターから生中継】日本初のユニバーサルシアターを ご案内します!

【コロナ禍のミニシアターから生中継】日本初のユニバーサルシアターを ご案内します!

東京パラリンピックで、競泳の鈴木孝幸選手や陸上の和田伸也選手、ボッチャの杉村英孝選手など多くのメダリストが誕生し、多様性について改めて学ぶ機会となっている。JVTAでは8月25日(水)に、日本唯一のユニバーサルシアター「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」を紹介するリモートセミナーを開催。代表の平塚千穂子さんが生中継で登壇し、スマートフォンを片手に館内を案内しながら、この映画館ならではのこだわりを解説した。参加者は約60名。コロナ禍で奮闘するミニシアターの現状を追った。
メイン
 

◆日本初のユニバーサルシアター
平塚さんは、2001年にバリアフリー映画鑑賞推進団体City Lightsを起ち上げ、視覚に障害がある人たちと映画館に同行し、映画の内容を言葉でガイドするという鑑賞サポートを始めた。現在、映画館などで利用できる「音声ガイド」というツールは、この団体が視覚障害者の意見や感想を聞きながら共に作り上げてきたものだ。2008年からは音声ガイド付きで映画を上映する「City Lights映画祭」を開催。JVTAはその活動趣旨に賛同し、この映画祭を協賛してきた。
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そして2016年9月、平塚さんは、念願だった日本初のユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」を開館。今年の2021年9月1日で5周年を迎えた。すべての作品に音声ガイドとバリアフリー字幕をつけて上映している。一方、JVTAは、2011年にNPO メディア・アクセス・サポートセンター(MASC)と共催し、バリアフリー講座を開講。修了生の多くが字幕や音声ガイドの制作に協力し、チュプキを応援してきた。
 

◆館内は思いやりとぬくもりに溢れた空間
このセミナーでは、平塚さんがスマホを片手に入口からロビー、スクリーンなどを丁寧に解説していく。段差のないフラットな入口を入ると、左手には壁画作家、根本有華さんの作品「チュプキの樹」が拡がる。たくさんの青い葉には映画館設立時にクラウドファンディングを支援した531人の名前が記されている。
チュプキ葉っぱ
ロビーでは、パンフレットやチラシの設置に加え、障害者アーティストが手がけた雑貨も販売。トイレの入口前には点字の案内があり、車椅子も利用しやすい引き戸となっており、内部にも手すりなどが装備されている。ロビーの壁には俳優の片桐はいりさん、樹木希林さん、永瀬正敏さん、井浦新さん、大九明子監督、声優の小野大輔さんら映画関係者のサインが並び、多くの人に愛されていることが伝わってきた。全20席という小さな映画館だが、多くの俳優や監督が舞台挨拶に訪れるという。
サイン
 

◆森をイメージした空間で映画を鑑賞
シアター内
森の中をイメージした劇場内には緑が多い。床には人口芝が敷かれている。全20席の椅子にはすべて音声ガイドを聴くためのイヤホンジャックがある(イヤホンは無料で貸し出しており誰でも利用できる)。一番後ろには車椅子用の空間を用意。「通常の映画館では最前列の端が多く、首が疲れるという声を聞いていたので、うちは見やすい特等席にしました」と平塚さん。また後方には小さな個室、親子鑑賞室がある。赤ちゃんを連れたママさんや大きな音や暗さ、人込みが苦手な人も音量や明るさを調整して、窓越しに映画を見ることができる空間となっており、あらゆる人に優しい配慮が行き届いている。
 

◆岩浪美和音響監督が手がけたこだわりのサウンド
チュプキの自慢は、音響設備。音で映画をイメージする視覚障害者も楽しめるよう、劇場の前面、側面、後面そして天井までスピーカーを配置し、作品に最適な立体的な音を実現している。音に包まれる「フォレストサウンド」と名付け、設備を監修したのは、『ガールズ&パンツァー』などの音響監督を務める岩浪美和氏だ。
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また抱っこスピーカーというクッションのようなスピーカーの貸出しもある。聴覚障害者の人にも振動が伝わり、重低音を感じられると好評だそう。「シート内蔵のスピーカーはよくありますが、自由な場所で抱っこしながら楽しめるのが特徴です。健聴者にもおすすめですよ」(平塚さん)
 

◆上映作品はミニシアターらしいラインナップ
チラシ
9月はこれまでの上映作品からスタッフおすすめの傑作を集めたという。スタッフの一番人気はドキュメンタリー『プリズン・サークル』。ほかにも『世界一と言われた映画館』『ニーゼと光のアトリエ』『行き止まりの世界に生まれて』『寝ても覚めても』などがラインナップされている。「大手の配給会社の作品のバリアフリー化は定着しつつありますが、ミニシアター系の作品はまだついていないものが多いのが現状です。チュプキではそんな作品も上映したいと配給会社にかけあい、自ら音声ガイドや字幕を制作して上映しています。ミニシアターならではのあらゆるジャンルの作品を楽しんでほしいですね」(平塚さん)
ちなみに8月は戦争がテーマの作品を取り上げた。大島渚監督の傑作『戦場のメリークリスマス4K修復版』のガイドは平塚さんが10年前に手がけ、推敲を重ねてきた自信作。高校生など若い世代も見てくれたことが嬉しかったという。
 

◆目指すのは障害者のいない映画館
イヤホン 筆談
チュプキには障害者割引料金はない(介助者の割り引きは実施)。「障害者のいない映画館」、つまり、障害者という概念がなくなる映画館を目指しているからだ。「誰もが不自由さを感じずに映画を一緒に楽しめる空間にしたいと考えています。ロビーで知り合った方が視覚障害者の方を駅まで送ってくれたり、視覚障害者と聴覚障害者のカップルが来てくれたり。これはユニバーサルシアターならではのギフトだと思います」(平塚さん)
 

◆コロナ禍でも絶やしてはいけないチュプキの光
チュプキとはアイヌ語で月や木漏れ日など自然界の光を表す言葉だ。誰もがいつでも安心して、一緒に映画を楽しむことを願って選んだという。コロナ禍の今、20席を12席に限定して営業するなど厳しい状況が続いている。一方で、昨年は深田晃司監督と濱口竜介監督が発起人となった「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」や映画関係者によるSAVE the CINEMAなど多くの人に支援のうねりが拡がった。このチュプキの取り組みを絶やしてはいけないと多くのメディアが取り上げ、募金などのサポートも続いている。
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「映画の配信が普及していますが、映画館の醍醐味はやはり、同じ空間で一緒に映画を楽しむこと。映画館に足を運ぶプロセスやロビーで出会った人との交流などは、配信では味わえません。大変な状況ですが、映画を愛する人たちの夢のモデルの一つとして頑張っていきたいです」(平塚さん)
 

参加者からは「シアターからのライブ中継で、自宅にいながらたくさんの情報とメッセージが伝わってきた!」「みんなに支えられている素敵な映画館があることを知ることができた」など嬉しい声が届いた。皆さんもぜひ、チュプキに足を運び、映画を楽しむ原点を味わってほしい。JVTAはこれからもチュプキと共に映像のバリアフリー化をサポートしていく。
 

★「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」公式サイト
https://chupki.jpn.org/
※最寄りのJR田端駅では有人改札でチュプキまでの地図を配布している。
※休館日(水曜)はシアターレンタルもできる。1時間5000円ですべての機材の使用が可能。操作はスタッフがサポートしてくれるので安心だ。自主上映会や朗読会なども開催されているという。
 

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音声ガイド作りのパイオニア 平塚千穂子さんが書籍「夢のユニバーサルシアター」を執筆
https://www.jvta.net/tyo/yumeno-universal-theater/
【『citylights』上映会レポート】大事なことは、まず自分が音声ガイド作りを楽しむこと
https://www.jvta.net/tyo/citylights-movie2/
 

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★【バリアフリー】JVTAではさまざまな取り組みや修了生の活躍の場を取材しています
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