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【サマスク2023レポート】劇場公開作品を手掛ける吹き替え翻訳者が語る裏話「吹き替え翻訳者になるために取り組んだ●●と●●」

【サマスク2023レポート】劇場公開作品を手掛ける吹き替え翻訳者が語る裏話「吹き替え翻訳者になるために取り組んだ●●と●●」

日常生活の中で字幕翻訳者のインタビューを目にすることはあるが、吹き替え翻訳の裏側を知る機会は少ない。そんな知られざる吹き替え翻訳の世界を紹介するため、「劇場公開作品も手掛ける翻訳者とクイズで学ぶ!吹き替えの常識から裏話まで深堀り」セミナーが開催された。ゲストにはJVTAの2期生で、現在数多くの劇場公開作品の吹き替え翻訳を手掛ける瀬尾友子氏が登場。吹き替え翻訳の基礎知識から貴重な吹き替え翻訳エピソードまでが紹介され、約190名の参加者が吹き替え翻訳の世界について理解を深めた。


吹き替え翻訳の裏側をクイズで紹介!ベテラン翻訳者ならではのエピソードも
セミナーでは初級、中級、上級の3レベルで吹き替えにまつわるクイズが出題。例えば次のようなクイズだ。


「街中や駅などエキストラの話し声や大勢の歓声を【●●】と言う。【●●】に当てはまるものは何か?」


答えは「ガヤ」。吹き替え翻訳者はメインの登場人物のセリフだけでなく、この「ガヤ」についても翻訳をする必要がある。


しかしこの「ガヤ」は、原音のスクリプトが書き起こされてないことがあると瀬尾氏は解説。その場合は吹き替え翻訳者がシーンに合うようなセリフを創作して台本に書くと言い、瀬尾氏は過去に経験した「大変だったガヤ」を紹介した。


それはスポーツベッティングがテーマとなったある作品のワンシーン。メインの登場人物が映っている背後で、スポーツの試合中継が4つのモニターで流されていたという。約1分のシーンだったが、4つ別々の試合が映されていたため、ガヤも4種を創作。約1分のシーンだったにもかかわらず、メインの登場人物の会話+4種のガヤで、結果的に5分相当の翻訳作業が必要になったという。まさに経験豊富な瀬尾氏ならではのエピソードだ。吹き替え作品を見るときには、「ガヤ」にも注意して作品を見たいと思える話だった。


登壇者・瀬尾友子氏の名言「『イメージトレーニングと写経』で吹き替え翻訳者に」
『フェイブルマンズ』や『ボヘミアン・ラプソディ』など、今や多くの劇場公開作品を手がける瀬尾氏だが、映像翻訳を学んだ後の数年間は、なかなか吹き替え翻訳の仕事ができなかった。その際に瀬尾氏がおこなっていたことが、「イメージトレーニングと写経」だったという。


「吹き替えの仕事が全然できなかったころ、『劇場映画のエンドロールに自分の名前が出る』『TVのクレジットに自分の名前が出る』という場面を、ほぼ3年間にわたって毎晩イメージトレーニングしていました」(瀬尾氏)


また、「良い吹き替え」の感覚を身につけるために、吹き替え原稿の書き起こし(写経)もおこなった。さらにはただ吹き替えのセリフを書き起こすのではなく、映画の字幕版を見ながら口の動きや俳優のアクションを見て、「瀬尾バージョンの吹き替え原稿」を勝手に作りあげたそうだ。


「吹き替え翻訳者になる」という強い気持ちと、それを実現するための努力。どちらも大切だということが伝わってくるエピソードだ。


参加者からは、「瀬尾さんの吹き替え翻訳に対する熱い思いがとても刺激になった」「吹き替えに苦手意識があったが、頑張って取り組んでみたいと思った」など、映像翻訳学習へのモチベーションが高まったという声が多かった。


セミナーの最後に「1日でも長く、吹き替えの仕事がしたい」と語った瀬尾氏。その吹き替えへの強い思いは、間違いなく参加者に届いていた。

クイズは他にも「45分尺のドラマの収録時間は?」「吹き替え翻訳者あるあるは?」など、が出題。1問ごとに瀬尾氏の解説や体験談が紹介され、吹き替え翻訳の魅力が伝わる内容だった。




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