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【字幕・吹き替えでサポート】UNHCRのアニメーション動画で難民問題を学ぶ

【字幕・吹き替えでサポート】UNHCRのアニメーション動画で難民問題を学ぶ

世界各地で紛争や迫害により故郷を追われる人は現在8,000万人を超える。その約半分は18歳未満の子どもだという。難民問題を解決する上で大切なのはまず、現状を正しく知ることだ。皆さんは、「難民」「庇護希望者」「移民」「無国籍者」などについて正しく理解しているだろうか?
 

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の公式サイトでは、「難民について学ぶ Learning about refugees」「無国籍について学ぶ Learning about statelessness」と題し、難民問題についてアニメーションで解説する動画シリーズを公開。テーマごとに各3分前後とコンパクトで、すべてアニメーションで紹介されているのが特徴だ。難民が置かれている厳しい現状やその原因、避難先での生活などが具体的に語られ、よりリアルに彼らの存在を理解できる内容となっている。JVTAはこの動画の字幕や吹き替えの制作をサポート。担当した翻訳者は皆、これまでもUNHCRの活動をそれぞれのカタチで支えてきた。その経験を生かして取り組んでいる。
 

「難民について学ぶ Learning about refugees」では、「難民とは?」「移民とは?」「国内避難民とは?」「難民の避難先は?」など具体的なテーマで語られる動画が複数公開されている。字幕を手がけた増渕裕子さんはこれまで、難民問題の啓蒙を目的に行われている「UNHCR WILL2LIVE Cinema 」(旧UNHCR難民映画祭)の上映作品を複数手がけてきた。2017年上映の『アレッポ 最後の男たち』や2019年上映の『ミッドナイト・トラベラー』はどちらも、のちに劇場公開された話題作だ。
 

★難民について学ぶ Learning about refugees
https://www.unhcr.org/jp/learning-about-refugees
 

「この動画シリーズを字幕翻訳するにあたって一番心がけたことは『初めて見る人にもきちんと理解してもらうこと』でした。テーマごとにそれぞれ短く簡潔にまとめられており、過激なシーンもありません。そのため、子どもたちにも安心して見てもらえると思ったからです。しかしその一方で、専門用語が頻出し、充実した内容でもあったため、訳し方によってはかえって難解になる可能性もありました。そこで“情報をかみ砕き過ぎず、動画に込められたメッセージをしっかりと伝え切ること”、これを念頭に置いて、専門用語の意味や使い方、事実関係の裏取りをしっかりと行いました。背景知識を深めるためにUNHCRやそのほかの国連機関のホームページの他、難民や内戦に関するニュース記事をたくさん読みました。より多くの人たちにこれらの動画を見ていただくことで、日本でも本当の意味での難民への理解が進み、人としての共感が生まれることに期待しています。」(修了生 増渕裕子さん)
 

◆「難民とは?」 字幕

 

「無国籍者」とはどういうことなのか、分からないという人も多いだろう。「無国籍について学ぶ Learning about statelessness」では、「無国籍者の原因」「無国籍だとどうなる?」「無国籍者の権利」などが詳しく紹介されている。字幕を手がけた志村紀恵さんもまた、同映画祭の上映作品の字幕をいくつも担当してきた。児童婚について描いた『イージー・レッスン - 児童婚を逃れて』ではチームリーダーを務めたほか、難民からオリンピック選手になったグオル・マリアルの姿を追ったドキュメンタリー映画『戦火のランナー』が劇場公開されている。志村さんも翻訳を通してさまざまな現実を知る中で難民の困難な状況に胸を痛めてきた。
 

★「無国籍について学ぶ Learning about statelessness」
https://www.unhcr.org/jp/learning-about-statelessness
 

「このシリーズは、無国籍の問題について、非常に分かりやすく丁寧に説明されている動画集です。字幕で理解を損なうことのないよう、読みやすさや、アニメーションと字幕の同期をできる限り意識しました。“難民映画祭”で扱われるようなドキュメンタリー作品とは違い、この動画集は、国籍がないとはどういうことなのか、全体像をテーマごとに章立てて理解していく教材です。私たちがごく普通に享受している権利も、実は当たり前ではないことに、ふと気付かされます。国籍がない人は、世界に少なくとも420万人。その現実を知るきっかけとして、ご覧いただければと思います」(修了生、志村紀恵さん)
 

◆「無国籍者とは?」字幕

 

さらに今年2022年、「難民を知るための動画シリーズ」として吹き替え版も公開されている。ナレーションを担当するのは、UNHCR親善大使のMIYAVIさん。字幕版を元にした吹き替え原稿を小西太郎さんが手がけた。小西さんはこれまで、報道関係の仕事を通じて難民問題に携わってきたという。
 

◆UNHCR Japan YouTubeチャンネルで公開中
https://www.youtube.com/c/UNHCRJapan/videos
 

「VO(ヴォイスオーバー)用リライトでは、尺の調整、画面内容とナレーションを一致させるタイミング調整が主な作業となりました。また、字数が制限された字幕では伝わりにくい要素があれば、尺が許す限り、事実関係を再調査して盛り込むようにしました。
 

VO用といえども、その原稿はナレーターにとっては『読み原稿』です。読みやすさだけでなく、ブレスの取り方で文章の意味が変わらないよう、読点にも配慮しました。」(修了生、小西太郎さん)
 

◆「難民とは?」(吹き替え版)

 

以前携わっていた報道関係の仕事で、難民や国内避難民等を取材する機会が多くありました。そうした境遇にある人々への理解を深め、また、その支援を続ける UNHCRの活動に微力ながら貢献できればという思いで今回は取り組みました。字幕版、吹き替え版、どちらでも構いませんので是非ご覧ください。」(修了生、小西太郎さん)
 

◆「難民を支援しているのは誰?」(吹き替え版)

 

難民を描いた映像作品は実写ドキュメンタリーが多く、残酷なシーンが含まれることも少なくない。初めて難民について学ぼうとする子供たちにはショッキングなものもある。しかし、このアニメ―ションなら安心して見ることができるので、ぜひ教育の現場でも広く活用してほしいシリーズとなっている。映像翻訳に興味のある方は、字幕版と吹き替え版を見比べてみるのも学びとなるはずだ。まずは自分が現状を知ること。そして他の人にも伝えていくこと。それが支援の第一歩になる。JVTAは2008年からUNHCRの難民映画祭を字幕制作でサポート、多くの修了生が協力してきた。今後も字幕や吹き替えを通して難民問題の支援に尽力していく。
 

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