【サマスク2022】 映像翻訳者×声優がつくる「吹き替え」の世界
字幕と吹き替えは、翻訳という共通点はあるものの、実は思った以上に異なる点がある。吹き替え翻訳は、アフレコをする声優が俳優と同じ熱量・リズムで演技ができるよう、訳文にアレンジを加えて“セリフ”を作る。さらにはアフレコに立ち会い、セリフの意図が声優の演技に反映されているか確認することもある。言葉のプロと演技のプロによる共同作業は、吹き替え翻訳ならではの醍醐味だ。
8月17日(水)に開催したJVTAのサマースクールセミナー「夢の競演!生アフレコも?!声優と翻訳者で『吹き替え』の世界を徹底解剖」では、アフレコ現場を再現したトークセッションが大いに盛り上がった。登壇したのは、本校で吹き替え翻訳の講義を担当する板垣七重講師、現役の声優である榎本雄二さんと上原かずみさん。声優2名がアフレコを実演し、演じやすい吹き替え台本のポイントを語った。
ポイントの1つである「尺合わせ」は、講師と声優から様々な意見が挙がった。原音と吹き替えのタイミングを合わせるには、訳(セリフ)を少し短くしなければならない場合がある。一方で原音の情報やニュアンスは落とせないため、尺合わせは映像翻訳者の腕の見せ所となる。榎本さんと上原さんは「場面を立体的に捉えてみては?」と声優目線でアドバイスした。“翻訳された”セリフよりも、人物のキャラクター像や場面に合わせて柔軟に考えられたセリフは、より自然な演技につながると言う。つい原文に引っ張られるという癖は、映像翻訳者なら誰もが経験する。しかし改めて作品を見る側の視点に立ち、セリフを通して作品の世界が伝わるよう、表現を推敲することが大切なのだ。
By Yukiko Takata
●吹き替えの実演をする声優の榎本雄二さんと上原かずみさん
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