“ゲイ版『ビフォア・サンライズ』 ”『WEEKEND ウィークエンド』が劇場公開 字幕は修了生・今井祥子さん
『WEEKEND ウィークエンド』は、2012年の第21回東京国祭レズビアン&ゲイ映画祭(現レインボー・リール東京)の上映作品です。それから7年、根強い人気を持つこの作品が9月27日から日本で劇場公開になり、再び話題となっています。当時、JVTAが日本語字幕を担当し、手がけたのは修了生の今井祥子さん。今井さんは同映画祭の運営に10年以上携わっており、作品の翻訳だけでなく、プログラマーとして上映作品の選定や映画会社との交渉、素材の輸入、字幕制作や完パケ制作などにも関わってきました。映画『湖の見知らぬ男』(2013年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞)やテレビドラマ『Lの世界』などのLGBTの話題作でも数多く字幕を手がけています。『WEEKEND ウィークエンド』の劇場公開を受けて、今井さんは7年前の字幕を自らブラッシュアップしたそうです。今井さんに作品の魅力を聞きました。
(C) Glendale Picture Company MMXI
修了生・今井祥子さんのコメント
『WEEKEND ウィークエンド』は“その後のゲイ映画の流れを変えた一作”と言われるほどエポックメイキングな作品で、『ムーンライト』(アカデミー賞で作品賞ほか3冠を達成)『ゴッズ・オウン・カントリー』(2018年から日本で劇場公開)など多くの作品に影響を与えました。
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本作は2人の青年が出会ってから別れるまでの2日間の恋を描いた作品です。発表された当時は“ゲイ版『ビフォア・サンライズ 恋人たちの距離』”と話題になりました。2人は自分がゲイであることを受け入れていて、親しい友人にはカミングアウトもしている。けれどもヘテロ・ノーマティブな社会の中でどこか息苦しさを感じている、そんなどこにでもいそうなゲイ青年です。ありふれたゲイバーで出会い、ありふれた日常の風景の中で会話をしながら心を通わせていく――ただそれだけのストーリーがなぜ特別な映画になったのか、なぜ世界中の観客を魅了したのか、ぜひスクリーンで見て確かめていただきたいです。
(C) Glendale Picture Company MMXI
今回、字幕の改訂をするにあたって久しぶりに本作を見直しましたが、時がたってもやはりラストではジョン・グラントの曲とともに深い感動に包まれました。「珠玉のラブストーリー」という言葉がこれほど似合う作品もありません。
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監督は、国際映画祭で高い評価を受けて注目されるアンドリュー・ヘイ。孤独な少年と一頭の馬の旅を描いた『荒野にて』では、主役のチャーリー・プラマーが第74回 ベネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞。また、夫が過去に愛した女性との事実を知り動揺する妻をシャーロット・ランプリングが演じた『さざなみ』は、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞しました。そんなヘイ監督が2011年に手がけた2作目の長編映画が『WEEKEND ウィークエンド』です。製作から8年の時を経て、日本で初の劇場公開、ぜひお見逃しなく。
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『WEEKEND ウィークエンド』
9月27日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開
監督:アンドリュー・ヘイ
出演:トム・カレン、クリス・ニュー
2011/イギリス/カラー/英語/97分 映倫R15 原題WEEKEND 配給:ファインフィルムズ
(C) Glendale Picture Company MMXI
http://www.finefilms.co.jp/weekend/
※今井祥子さんは11月9日劇場公開の『ラフィキ:ふたりの夢』の字幕も手がけています。
『ラフィキ:ふたりの夢』
©Big World Cinema. 配給:サンリス
「こちらはレズビアンものですが、ケニアの女性クリエイターの才能が集結した新しいタイプのアフリカ映画です。 ファッションやプロダクションデザインや音楽がすごく魅力的なので、ぜひチェックしてみてください」(今井さん)
http://senlis.co.jp/rafiki/
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