<イベントレポート>「~だわ」「~だぜ」は捨てるべき? 時代の流れで変化する「役割語」の扱いを考えよう
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「もっと知りたい吹き替え翻訳の魅力! 〜“役割語”って何ですか?〜」
2021年1月27日(水)、JVTAが開催する「もっと知りたい吹き替え翻訳の魅力! 〜“役割語”って何ですか?〜」には、およそ170名の方が参加してくださいました。
「役割語」とは、特定の人物像を思い浮かべたり、その人物がいかにも使用しそうだと思い浮かべたりすることができる、言葉遣いのこと。“わし”で始まり“~じゃ”で結ぶような「博士語」や「老人語」、“あたくし~”のような言い回しが特徴の「お嬢様語」などです。日本語表現力強化コースの丸山雄一郎講師と映像翻訳ディレクターとして数々の吹き替え翻訳を手掛ける板垣七重講師が、映像翻訳者なら学んでおきたい役割語について掘り下げました。
■吹き替え翻訳の現場で考慮される「女ことば」「男ことば」
セッションではまず、丸山講師が板垣講師に吹き替え翻訳における役割語をどう考えているか質問。板垣講師は「特に考慮されるのは 『~だわ』『~なのよ』などの“女ことば”と『~しちまう』『~だぜ』などの“男ことば”」と話した上で、吹き替え翻訳での役割語の扱われ方が近年変化していることを紹介。映像翻訳受注の際、女ことばや男ことばは使わないでほしい、とリクエストされることが増えたと語ります。
■時代の流れと登場人物の描かれ方
役割語についてのリクエストが増えたことについて、板垣講師は2つ理由があるのではないかと分析します。1つはクオリティの問題。登場人物のキャラクター分析をしないままセリフを翻訳しないでほしい、という思いがクライアントにあると話します。2つ目は映画やドラマに登場するキャラクターの多様化。時代の流れにともない、エンタメの分野でも、人種や性の違いの描かれ方に変化が起きているといいます。「登場人物を“型”にはめてしまうような役割語の使い方は、改めて考える必要があります」(板垣講師)。
■役割語は捨てるべき?
セッションの最後には、「吹き替えの中の役割語のこれから」を展望します。役割語は多用しない方がいいものの、語尾のバリエーションを増やしたり、リズムを整えたりする効果もあると板垣講師。「作品のセリフは練りに練って作られています。だから、ストーリーがうまく伝わったり、登場人物の考えや気持ちが分かったりする。登場人物を大切にしながら言葉選びをすれば、役割語はある程度は残していっても良いのではないか思います」。翻訳者は言葉に対して敏感であり、かつ考え続けることが大事だと締めくくりました。
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